
大手の進学塾では、算数の受験に必要な内容は5年で終了。
6年生は、5年までで習ったことをベースに、それを組み合わせて、いかに入試問題で点を取っていくか、という勉強に変わります。
もちろん、単元を順に復習していくわけですが、その内容は、発展的復習とでもいうべきもの。
ですから、5年の間では、習ったことを徹底的に理解しておくことが入試算数を制覇するポイントになるのです。
割合と比、速さと旅人算、平面図形と比、立体図形と水問題、場合の数、・・・
重要な単元が目白押し。
ここは何としても制覇したいところです。
暗記算数に陥らないために
ところで、以前こういうご相談を受けました。
「算数の勉強は、テキストの問題を3回も4回も繰り返しているので、毎週の復習テストでは、クラスの上位に入るのだけど、公開模試になると、途端に点数が出ない。どうしたものでしょう?」
詳しく訊くと、4年までは近所の小さな塾に行っていて、5年から大手の塾に入ったそうで、まだ4カ月ほど。
管理人は、何点かアドバイスをしました。
➤ 算数が暗記科目になっていないか。
➤ 塾の公開模試というからには今までの積み重ねがものをいうが、まだそこまでは積み重ねてはいない。だが、今の勉強でもきちんと続けていけば、もっと得点できるようになる可能性は高い。
気になったのは、算数を暗記科目にしている点でしたので、そこは、勉強の仕方も含めて少していねいにお話ししました。
算数の基本は「土台作り」
算数は土台の部分さえしっかり作れば練習の積み重ねで得点していける教科のはずです。
土台の部分とは、「計算力や図形の認識力+基礎知識(多少、問題を解くテクニックも含む)+条件の読み取り能力」
で、これをもとに自分で条件整理したり、図や表にまとめたりしながら考えていく、考える手がかりが少なければ、その手がかりを見つけ出す、そういう訓練の積み重ね。ここをしっかりとやっておけば、入試問題のように「見たこともない」という問題でもある程度対処可能でしょう。
ところが、暗記算数に陥ると、解答を導くまでの流れを覚えようとする。数値替えの問題は対処できるが、条件を少し変えられたり、切り口を変えられると対処できないということになる。
中堅校や人気校と言われる学校はこれでも何とかなる(すごく手間も時間も労力もかかります)が、難関校には対処が難しくなる。そういう勉強になってしまいます。
土台だけできても点数の伸びはない
できれば、自分で考える力を、5年の間に身につけさせてあげたい。そのために、「自分で条件整理したり、図や表にまとめたりしながら考えていく、考える手がかりが少なければ、その手がかりを見つけ出す」という練習を、初めのうちは時間がかかってもやってほしい。(そのうち早く処理できるようになりますから、結局は楽です。)
ただし、そうはいっても、5年生ぐらいだとまだまだ生活の経験値も不足しています。
抽象化して考えることもなかなかできません。
ですから、ある程度のパターン化とそのパターンの練習は不可欠です。
そのパターンの練習を積み重ねた上に、少しずつそれを利用するということに慣れさせていってあげることが大切です。
算数のできない子は
・そもそもパターン化された練習をしない
・パターン化された問題の練習だけで終わっている
という部分があり、その先にある「利用して考える」という部分ができていないのです。
公開模試などを受けて、算数の点数が100点満点で20~30点なら、パターン化された問題の練習すらできていない、50点前後なら、パターン化された練習で終わっている、などと考えることができます。
その先を望むなら(というか、皆さん、塾に行かせているなら望んでいるとは思うのですが)、その部分を踏まえ、その先にある勉強をしっかりやっていかないとダメですよ。
具体的な勉強方法は?
以下の勉強は、子供に任せてはいけません。
親が主導し、徹底的にやるべきです。
そんな手がかかること、やってられない、って思うなら、中学受験で難関校への挑戦はあきらめた方がいい。
もっと言うなら、塾の模擬テストの偏差値が50前後の学校までだったら、
今通っている、難しい進学塾に通って高い授業料を払わなくても、それなりに合格を取ってくるかもしれません。
せっかくやるのなら、ぜひここまで手をかけてあげてください。
1 計算力を見極める
ただ塾から与えられた、毎日やる計算の問題集を、時間を計ってさせている。
これだと不十分です。(もちろん、やらないよりは数段ましですが…)
子供がどうやって計算しているか、細かく見てあげてください。
・1問解くのにどれぐらい時間をかけたのか
・途中の計算で、手間のかかることをやっていないか
・工夫は使えているか
・暗算もしっかり使っているか
こういったことをきちんとチェックします。
できていない点を指摘し、修正できているかまたチェックし、
ということを何回か繰り返せば、格段に計算力はアップします。
たかが計算問題、ではいけませんよ。
2 基本パターンが身についているか確認する
テキストの基本例題を、ノーヒントでさせてみます。
基本ですから、すらすらできないと意味がありません。
ですが、すらすらできない問題も必ずあります。
できないところは絶対にできるようにしておくこと。
これは、6年に向けての最低限の準備です。
5年の間に仕上げておくことが必要です。
「全部させるのですか?」
そうです。5年になってから今まで習った「すべて」です。
3 基本パターンを使いこなす練習をする
6年に向けての最低限の準備は、1と2で書いた通りです。
ですが、
ここまでのことだけだと、最難関校は覚束ないでしょう。
基本パターンを使いこなす練習は不可欠です。
図に整理する、表にまとめるなど、
実際に手を動かして、
分かっていること、その条件から分かることを、図や表に書き込んでいく。
こういった作業が自分でできるようにならないと
最難関の中学の算数では得点できるようにならないのです。
ですから、そのための準備として、
テキストのBレベルやCレベルの問題を、すべてでなくていいので、
子供の状況に応じて取り組ませます。
これが、この先の思考する問題にもつながっていきます。
5年のうちにここまでできていないと最難関校は難しい
6年に向けての万全の準備ができて、はじめて最難関校の受験資格をものにできる、
そうお考え下さい。
酷なことを書くようですが、ここまで仕上げていないと、最難関の中学校を受験できないのです。
親子とも、ほんとの覚悟を問われている、それが最難関中学の受験です。
5年生で最難関に近づく勉強にもどる蛇足ですが、
ボクのオンライン個別指導塾「究学」の指導で、これをやり遂げる人もいます。
同レベル、同内容のテキストをお渡しし、それを使って指導している子もいます。
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