
「難関校に合格するには小学校の低学年から勉強」という誤解
中学受験で成功して、自分の第1志望の学校に入学していく子供たち。
難関校であればあるほど、早い準備が必要であると、ある意味誤解されている部分があります。
「うちは灘中学校に入学させたいので、小1から塾に入れて勉強させています」とか、
「大阪星光以上の学校に行かせたいので、小2から個別指導を受けさせています」とか。
これは正解のようで、実は必ずしもそうとは限りません。
問題は、早くから「何を」させているのかということです。
難関校に合格する子は、早くから(小1や小2から)準備をしている
今まで多くの子どもを受験させてきた塾講師の立場から言えば、それなりにしっかりした教材とカリキュラムのある進学塾で、小4からきちんとスタートすれば、最難関の学校に合格することは不可能ではありません。
ただし、子供たちが、その段階で習っていくことをしっかり受け取れる状態になっていることが必要です。
さらに、受け取ったことを「利用し」、自分の頭で考えられるような習慣を身に付けておくことも大切です。
実際、難関校に合格する子供たちは、親がはっきり意図しているかそうでないかは別として、早くからそういった下地を作っています。
何を準備しておくといいか
ここでは、特に大切な4つの点を取り上げます。
1 人の話が素直に聞ける
勉強とは、1から10まですべて自分でやっていくわけではもちろんありません。
教えてもらい、真似をし、応用していく。
この一連の流れに不備があってはいけないのです。
そしてこの中の「教えてもらう」という部分。これは、教わるときの姿勢の問題です。
ちゃんと話が聞けることや、素直にそれを真似するということ。
これが、何を置いても重要になります。
2 興味や好奇心
勉強とは、ある意味単調な作業です。
ですが、常に興味や好奇心を失わない子にとっては、それは楽しいイベントになります。
興味や好奇心を持って勉強できる子は、そうでない子より理解も速く応用も利かせられるようになります。
これは、低学年で何をやってきたかということが非常に大きく影響するように思います。
つまり、低学年のうちに、変に(中途半端に)先取りの勉強をしてきたような場合、4年以降で習うことの新鮮味が失われ、結果、そこでやっていく勉強が面白くなくなったり、
「知っている」「習った」つもりで、授業を集中して聞かず、結果、その先にある大切なことを聞き逃したり、と思わしい結果が得られなくなります。
逆に、4年になる前に、勉強とは直接関係がないようなことでも興味や好奇心を持って吸収してきたような子は、4年以降の本格的な勉強面でやはり興味や好奇心を強く持って臨んでいけるようです。
低学年の間に、勉強させ過ぎて、その子の伸びる芽を摘むことが無いようにしないといけません。
3 集中力
4年以降の成績が伸びない子の典型的なパターンに、集中力の不足があります。
ちょっと長い説明は、途中までしか聞けない、とか、少し長い問題文は最後まで読み切れない、とか、宿題をやり始めたが、すぐにボーッとしてしまうとか。
集中力が途切れやすい子で成績優秀な子はまずいません。
大人もそうと認識していますから。4年や5年、へたをすれば6年になって親から「どうしたら集中力がつきますか?」などと質問されます。
しかし、小学校の高学年になってから対処しようとするのは、遅すぎます。
遅くとも小学校の低学年の間に、人並みの集中力ある子にしておいてほしいと思いますし、それができていないのはひとえに親の怠慢、親の責任です。
小学校に入学する前でも、短時間(たとえば2分とか)の集中力というのは誰にでもあると思います。
これを5分にし、10分にし、4年に上がるときには20分集中できる子供に育て上げてください。
毎日読書をさせることも有効です。
挿絵が少ない本を、初めのうちは毎日5分でいいので真剣に朗読させる。
親はそれを聞き流してもいいので、聞いてあげる。(時々、何その言葉?みたいな読み方になっていることもありますから、気が付いたところで注意してあげること。)
徐々に時間を伸ばしていく。
最終的には、20分間、黙読できるようになれば成功です。
(黙読だと、読んでいるのかいないのか判然としないと思われる方は、鉛筆を持たせ、読みながら文章に線をひかせるといいでしょう。)
計算問題で同じようなことをしてもいいのですが、さすがに計算で20分集中はキツイですから、計算なら5分完全集中を目指す、でいいと思います。(先の読書と併用してください。)
おまけ 4つ目は考える力を
以上の3点は、ぜひ小4になるまでに身につけておいてほしいと思います。
あと1点。それは「考える力」。
難しい問題でなくていいです。市販のパズルでも何でもいい。考えるという練習をしておくと、それがすごく役に立ちます。
諦めないで、きちんと答えに行きつくまでやりきる練習です。
制限時間なしで、与えられた問題に、真正面から向き合う。
これができる子は、本当の意味で実力がついていきます。
これだけのことがきちんとできるようになっている子は、塾の勉強、中学受験に向けた勉強は4年になってからで十分間に合います。