中学入試で「新傾向な問題」続々出現?~パート2

灘中学校の入試問題でも新傾向?

知っていること、今まで習ったことをベースに、問題によって与えられた条件をしっかり読み取り、考えを進めていく、これが難関中学で出題される入試問題です。

そこには、当然ですが、ベースになる部分がしっかりできていないといけないだけでなく、それをどう活用していくのかという訓練も不可欠です。

ですが、中には出題者の意図をくみ取って、その方向に沿って考えを進めていかないといけない問題もあります。

もしかしたら、大学入試変革を見据えて、こういう類の問題が今後増えていくかもしれません(もちろん、今までだって、そういう出題は少なからずありましたが、その割合が増えていくかも、という話です)。

少し長くて、条件や考える方向を読み取るのに手間がかかりますが、紹介します。

灘中学 算数2日目 大問4

どの辺の長さも,3cmのように整数に単位cmをつけて表される長方形を「整長方形」ということにします。ただし,正方形は整長方形に含めないことにします。

⑴ 整長方形の周の長さがαcm,面積がαcm^2であるとき,αにあてはまる整数は次の[説明文]のようにして求めることができます。空欄①,②,③に入る適当な数を答えなさい。ただし,同じ番号の空欄には同じ数が入ります。

[説明文] 右の図のように,整長方形ABCDがあり,周の長さはαcm,面積はαcm^2であるとします。
辺AB上に点P,辺BC上に点Q,辺CD上に点R,辺DA上に点Sを,直線PRと直線BCが平行で,直線SQと直線DCが平行になるようにとります。
BPの長さとSDの長さがどちらも[ ① ]cmであるとき,整長方形PBCRの面積と整長方形SQCDの面積の和はαcm^2になります。このとき,直線PRと直線SQが交わる点をTとすると,整長方形APTSの面積は[ ② ]cm^2になります。このことから,整長方形APTSの直角をはさむ2辺の長さとして考えられるのは1cmと[ ② ]cmとなるため,αにあてはまる整数は[ ③ ]です。

⑵ 整長方形の周の長さがαcm,面積が(α×2)cm^2であるとき,αにあてはまる整数をすべて求めなさい。

⑶ 整長方形の周の長さがαcm,面積が(α×2+8)cm^2であるとき,αにあてはまる整数をすべて求めなさい。

[説明文]のところが、ヒントではありますが、あくまでそれに沿って考えないといけません。
これは、書かれたことを正確に理解していかないといけないという意味で、難しく感じるかもしれません。

⑴ BP=SD=1cmと考えてみます
すると、
 ➤ 整長方形PBCRの面積=BCの長さ
 ➤ 整長方形SQCDの面積=DCの長さ
なので、この2つの整長方形の面積の和=BC+DCとなって、整長方形ABCDの周の長さ(α)の半分です。
大きな手掛かりができました!
ということは、
BP=SD=2cm(①)とすれば、
 ➤ 整長方形PBCRの面積=BCの長さ×2
 ➤ 整長方形SQCDの面積=DCの長さ×2
となるので、2つの整長方形の面積の和は、整長方形ABCDの周の長さ(α)と等しくなりますね。
そしてこのとき、
➤ 2つの整長方形の重なった部分(正方形TQCR)=整長方形APTSなら、
   整長方形ABCDの面積=整長方形PBCRの面積+整長方形SQCDの面積
となるので、整長方形ABCDの面積=αです。
整長方形APTS=正方形TQCR=2×2=4cm^2(②)なので、AP<ASとすると、AP=1cm,AS=4cmとなるので
AB=3cm,AD=6cmより、α=(3+6)×2=18(③)となります。

⑵ 今度は、整長方形ABCDの面積が周の長さの2倍になるので、整長方形PBCRの面積+整長方形SQCDの面積が⑴で求めた面積の2倍になるようにすればいいですね。
BP=SD=4cmで、正方形TQCR=整長方形APTSのとき、面積が周の長さの2倍になります。
4×4=16でAP<ASとすると、AP=1cm,AS=16cm(ア)かAP=2cm,AS=8cm(イ)が考えられます。
アのときα=50,イのときα=36です。

⑶ ⑵のようにBP=SD=4cmで、正方形TQCR+8=整長方形APTSとなればいいので、
整長方形APTS=16+8=24
AP<ASとすると、AP=1cm,AS=24cm(ウ)かAP=2cm,AS=12cm(エ),AP=3cm,AS=8cm(オ),AP=4cm,AS=6cm(カ)が考えられます。
ウのときα=66,エのときα=44,オのときα=38,カのときα=36となります。

まずは具体的な数字を入れて考えてみる

出題意図を一瞬でくみ取って、BP=SD=2cmにすぐに気づくという優秀な生徒でない限り(灘中受験者には、すぐに2cmに気づく受験生も少なくないと思いますが…)、具体的な数字で、まずは何に気づくかを調べてみるといいでしょう。

そうこうする中で、2つの整長方形の面積ともとの整長方形のたてや横の長さの関係に気づきます。

問題解決への手がかりさえつかんだら、後は一気に答えていけますよね。

その場で材料を与え、考えさせる問題は増加する?!

今回取り上げた灘中の問題のように、

➤ 考える材料、手がかりを問題として与え、ほぼそれのみを使用して答えさせる問題

➤ 今まで習ってきた知識はともかく、ややこしいテクニックがほとんど不要な問題

こういった問題が今後増えてきそうです。

日頃の勉強において、「自分の頭を使って考える」練習の重要性が増してくるのではないでしょうか。

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