中学受験に臨むときの「親の覚悟」とは?
東洋経済オンラインに次のような記事が掲載されていました。
中学受験の本質を知らない親に教えたい心得~「今だけ頑張ればいいから」はNGワード
そこで、今回は、「中学受験の本質」に迫ったこの記事をもとに、「受験に臨む親の覚悟」を中心に管理人の思うところを描いていきます。
中途半端に「中学受験」を考えないで
「中学受験で難関中学に入れれば、東大をはじめとする難関大学への道が近づく」
「大学付属校に入れれば、この先は受験をしなくてすむ」
「だから、今頑張っておけば後がラクになる」
そう考えて、「中学受験」を始める家庭が多い。だが、こんな気持ちで子どもに中学受験をさせようとしているのなら、今すぐやめたほうがいい。なぜなら、今の中学受験は親が思っている以上に過酷だからだ。
全くその通り。実際の中学受験は過酷です。特に
最難関の学校を目指そうものなら、その難解な入試問題に対応する力をつける、というのは生半可な勉強ではまったく意味がありません。
入試問題がどれほど難解か、実際の入試問題を見てみればすぐにわかります。
これを、生まれてわずか12年の子供たちが、決められた時間内に解かないといけないことを考えたら、そのためにやらないといけない勉強量がどれほど膨大かわかります。
実際、大学受験を戦った大人が解こうとしても難しいのです。
最難関の学校に限ったことではなく、偏差値50前後の中堅校と呼ばれる学校の入試問題でも、普通の大人が解こうとすれば難儀します。
「親の献身的なサポート」なしに受験はできない
さて、そんな難解な入試問題に対応するために、ほとんどすべての受験生は4年生ぐらいから塾通いが始まるのですが、その塾での課題をこなしていくのがこれまた大変です。
長くなりますが、記事から引用します。
・・・6年生になると通常授業の他に志望校特訓や模試などが加わり、週5日、ときには毎日塾で過ごすことになる。塾では問題の解き方は教えてくれるが、勉強の進め方までは個別にフォローはしてくれない。年間の学習カリキュラムが固定されているため、その日の授業で習ったことは、その日のうちに覚えることを前提に進んでいく。そのため、知識の定着を図るために塾から大量に出される宿題は、家庭で回していかなければならない。
抱え込んで面倒を見るスタイルの塾も増えましたが…
最近は、塾で抱え込んで、授業後も居残り自習をさせ、勉強をさせてくれるところも、関西では増えてきています。
ですから、ここだけ聞けば「なんて親切な塾だ。親の負担が減って助かる」となるわけですが、
実際は、そう単純な話ではありません。
まず塾でこなしてくる宿題や課題。時間内にすべて仕上げてくる子はほぼいません。
必ずやり残しを持って帰ってきます。
しかも、子供によっては課題の3分の1も終わっていない子も。
家庭での過ごし方が最重要
そこで、当然家に帰ってからその課題に取り組まないといけないのですが、そのためにお母さんやお父さんは寝る時間を削って子供に付き合わないといけないのです。
もちろん、当の子供も睡眠時間はぎりぎりまで削られます。
それでも出された課題を終わらせられない子もたくさん出てくる。
中学受験が高校受験や大学受験と大きく違うのは、学校の授業で習う内容と入試で出される問題の難易度に大きな差があることだ。また受験には、目標に向かっていつ何をするかといったスケジュール管理が不可欠だが、それが子どもの力だけではできない点も挙げられる。親の献身的なサポートがあってはじめてうまくいくというのが、中学受験の最大の特徴と言える。
ここに書かれたように、まさに「親の献身的なサポート」なしでは、中学受験はおろか、その前提となる塾通いすらままならなくなってしまうのです。
親は子供のスケジュール管理、その進捗状況の管理、身の回りの世話、何から何まで一切合切を手伝っていかないといけません。
いや、手伝うというより、親が主導権を握って、子供にさせていく、そんな感じになってしまうでしょう。
子供はいやいやながら、仕方なく勉強する。もはや、いったい誰のための受験か訳が分からない状態になっていくのです。
ですが、そこまでしないと、親子が考える志望校、難関校には手が届かない、それが入試の現実です。いやいや、ここまでやっても難関校に手が届かない子も多くいます。むしろ、そうまでしないと塾でやっていけない、という子は、難関校に届かない可能性が高い。
4年生になるタイミングで学童代わりに塾に入れる家庭も多いが、そんな甘い考えは捨ててほしい。早くから中学受験を意識してきた家庭でも、「ここまで大変とは!」とその過酷さを思い知らされることになる。だから、中学受験をするなら、親も子も「覚悟」をもって臨まなければいけない。
まさに、ここに書かれた「覚悟」を、親子ともに決めていかないといけません。
中学受験をするのか、させるのか、それとも中学受験は考えないのか。
これを考えるうえでは、ここまでに書いた「現実」を直視しておかないと、後で大変な目に合うことは目に見えています。
くれぐれも中途半端に「受験させる」と決めないことをおすすめします。
入塾した「最初の1か月」が超重要!
さて、ここまで中学受験を始めようかと思っているお母さん、お父さんに、けっこうきつい言い方でその現実を書いてきたのですが、そうでない状態で受験に臨む子も実際にはいます。
中学受験を考えて塾に来る生徒が3人いたら、少なくともその中の2人のご家庭では、ここまで書いてきた大変な状況を経験されると、管理人の今までの経験からそう思います。
ですが、中には「そうでない子」ように見える子もいます。
つまり、
与えられた課題を粛々とこなし、やるべきことの優先順位を自分で考え、塾のある日とない日の時間を上手に使うことができる子供たちです。
これらの差はいったいどこからできるのか、が気になるところですが、実は、最初からこういった子もすべて自分でできていたわけではありません。
塾に通うようになってしばらくは、お母さんやお父さんがついて、スケジュールの立て方や勉強の進め方を一緒に考え、一緒にやってあげていたご家庭が多いのです。
ですが塾のペースに慣れてくるにしたがって、徐々に自分でできるようになり、そのうち全部自分で自己管理ができるようになる。
子供が自分でペースがつかめるまではサポートを!
ですから、最初がやはり肝心です。
最初の1~2か月は、子供がペースをつかんできたか、しっかり様子を見つつ、サポートしてあげること。
子供がペースをつかんできたと思われるタイミングで、徐々に親は手を引いていくこと。
手は引きますが、中身はしっかりチェックしないといけません。
親が手を放していった後も「がんばれる」子とは?
で、ペースをつかんで自分でできるようになってきた子は、なぜ自分でこんなしんどい毎日を過ごしていけるようになるのか。
それは、〇〇中学に行きたいという欲求が強くなってきたから、ではありません。
通っている塾のなかでの自分の位置、これが分かってきたからです。
たいていの塾では、毎週確認テストや復習テストといった「やったことを理解できているか」をみるためのテストが実施されます。日能研のカリテもそういう役割ですね。
これで毎回クラスの平均点を上回っている、とか、上位3人に名前が入っている、とかが勉強を進める原動力になります。
同じクラスのアイツには負けたくない、といったように、自分で競争相手を作ることもあります。
先生に褒められた!これも動機になったりします。
テストでいい点を取ってお母さんに見せたら「思いっきり感動された」、これも動機になります。
そして、こういった状態を長く続けることができてきたら、当然、塾の大きなテスト(公開模試など)で結果が伴ってきます。
返却された成績表を見ながら、自分がいける学校が視野に入ってくる。
すると、それがさらにやる気につながっていきます。
こういったプラスのスパイラルで、ますますがんばっていく、こうなってきた子は強いですよ。
むしろ、こういう状態にまで持っていけないと、最難関の学校には合格しません!
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