算数教え方講座~速さ

「速さ」が理解できない小学生

速さの意味をしっかり理解させること。

速さの問題を考えるときに切り離せないのが「速さの公式」です。

一般的には次の3式のことを言います。

▶ 速さ×時間=距離
▶ 距離÷時間=速さ
▶ 距離÷速さ=時間

これを使わせるために、次のような図を描いて教えることもよくあります。

単に公式が使えたらいい、当てはめて答えが出たらそれでいい、というのなら、これをそのまま使って「速さ」や「時間」や「距離」を求めたらいいのです。

ですが、実はそう簡単ではありません。

今、仮に20分で30km進む車があるとします。この車の時速を求める場合、
速さ=距離÷時間 ですから、距離=30,時間=20で計算すると
30÷20=1.5より、時速1.5kmと書くと、当然間違いですよね。
時速1.5kmって、人が歩くより遅い。

こういう例はよくあって、時速30kmで40分進むと
30×40=1200より1200km進むと答える子もいるのです。

何も考えず、数字をあてはめたら、自動車の速さが歩く人の速さよりずっと遅くなったり、40分で大阪から北海道まで行けてしまうことに( ;∀;)

3種類ある「速さ」の意味をよく理解しないといけない

一口に「速さ」と言っても、3種類あります。

▶ 時速 → 1時間に進む距離
▶ 分速 → 1分間に進む距離
▶ 秒速 → 1秒間に進む距離

この意味をちゃんと考えましょう。

次に、公式を使いこなす上で、絶対に意識しておかないといけないのは「単位」。

先の例で、無茶苦茶な答えが出てきたのは、「単位」のとこを何も考えていないからですよね。
速さの問題を解くときには、真っ先に「単位」のことを気にしてください。

単位のこともあわせて考えると、速さの公式は次のようになります。
・速さ×時間=距離
では、
▶ 時速×時間=距離
▶ 分速×分=距離
▶ 秒速×秒=距離

・距離÷時間=速さ
では、
▶ 距離÷時間=時速
▶ 距離÷分=分速
▶ 距離÷秒=秒速

・距離÷速さ=時間
では、
▶ 距離÷時速=時間
▶ 距離÷分速=分
▶ 距離÷秒速=秒

これでも、まだメートルかキロメートルかの問題は解決していません。
ですが、単純に3つの公式を暗記するよりずっとましではないでしょうか。

速さの関係を図に表そう

次に、速さの問題を解くときに重要なのは、図で表せるかどうかということです。

☞ 通過算で、電車と鉄橋の図をかく

☞ 旅人算などを解く場合の、追いつくまでの図であったり、出会うまでの図であったり。

はじめは簡単な問題からでいいので、図をかく練習だと思ってどんどんかいていきましょう。
徐々にレベルは上がってきます。

旅人算を考えてみましょう

ひとつ簡単な例を挙げましょう。

2地点PQ間を、太郎くんはP地点から分速300mで、花子さんはQ地点から分速240mで、同時に向かい合って出発し、PQ間を往復します。二人が2回目に出会うのは、PQ間のちょうど真ん中の地点から450m離れたところです。PQ間の距離は何mですか。

図がなかったら結構大変そうな問題です。でも、ちょっと図がかければ、難しくないですよ。

イメージとしては、こんな図ですね。

ここから、速さの比を利用して考えてもいいし、進んだ距離の差と速さの差の関係を利用してもいいですね。

➤ 速さの比を利用すると

300:240=5:4
出会うまでに太郎は⑤,花子は④進んでいて、進んだ距離の差が450×2=900m
①=900mなので、2人が進んだ距離の合計は900m×(⑤+④)=8100m
よって、PQ間は8100÷3=2700m

➤ 進んだ距離の差と速さの差の関係を利用すると

進んだ距離の差450×2=900mは、1分間に300-240=60mずつ差ができた結果。
ですから、900÷60=15より、2人は15分で2回目に出会った。
よって、PQ間は(300+240)×15÷3=2700m

などと考えますが、これも図を描いて、そこに分かることを記入していけば、必ず手がかりが得られるのです。

また、流水算を解くときなんかにも、図は役立ちます。

流水算には、4種類の速さが出てきます。

・静水時の速さ
・流れの速さ
・上りの速さ
・下りの速さ

この4つの速さの関係は、次の図の通りです。

ここにかいた図に、分かったことをどんどん書き込んでいくだけで、かなり多くの問題が解けます。

図を描かないと苦労します

6年生でも、こういう図を、何度注意してもかかず、応用問題で苦労している子も多くいます。(中には、頭の中だけですべてやってしまい、しかも、すべて正解、というとんでもなくできる子もいますが、稀少種です。)

今はうまくかけなくても、正しい図を見せて、それを、見よう見まねでやっていくうちに、少しずつ自分でかけるようになっていくものです。

もちろん、図だけではなく、表にまとめたり、式で表したりと、やることは様々ですが、とにかく、手を動かす、作業を続ける、これが大切ですよ。

そういった子らは、そのうち、難しい問題にもアプローチできるようになるはずです。

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