分数で考えるのは苦手
分数を使って仕事算を解いてみたら…
仕事算という問題があります。
太郎君が一人でやると20日かかり、花子さんが一人でやると30日かかる仕事があります。
二人でやると何日かかりますか。
ボクがまだ駆け出しの頃、この仕事算は「全体を1として」考えさせろ、と教わったし、手にした参考書や問題集もすべて同じように書いていました。
全体を1とすると、太郎くんは1日に20分の1、花子さんは1日に30分の1の仕事をすることになります。
これを二人でやると1日に20分の1+30分の1=12分の1
なので、かかる日数は、1÷12分の1=12日
となるのですが、分かりにくいですよね。
大人の頭だとまだ、今何を計算しているかはかろうじて分かりますが、相手は小学生。
分数の扱いにもなれていないし、理解できない子が続出します。
特に最後の「1÷12分の1」
分数で割るって何なの?と、?が何個も頭の中をぐるぐるしているような顔をした子が続出。
(ま、でも、昔の子らはこれを必死で理解しようとして、その結果、逆に「考える力が伸びた」のかもしれないですが。)
仕事算では分数を使わない
では次のように考えてみたらいかがでしょう。
太郎くんは家にあるスイカを全部食べるのに20日かかり、花子さんは30日かかります。では、二人で食べると、スイカは何日でなくなりますか?
スイカはいくつあるか書いていませんから、自由に個数を考えましょう。
すると、20でも30でも割れる数が具合がいいと気付きます。
そこで、スイカの個数を20と30の最小公倍数の60個としましょう。
太郎くんは1日に60÷20=3個ずつ、花子さんは1日に60÷30=2個ずつ食べるのが分かります。
そんなに食べたらお腹こわす^_^;という声はこの際脇に寄せて、
二人で食べると、1日に3+2=5個ずつ食べますから、はじめにあった60個は
60÷5=12日で食べてしまうと分かります。
割り算の意味さえ分かっていたら、簡単に答えられますよね。
先の分数を使った解き方と比べたら違いは一目瞭然でしょう。
同じ問題を解いているのに、子供たちの理解は大きく違ってきます。
子供の頭は論理的にできていないし、抽象的に考えるのも苦手です。
ですから、ここでやったように、より具体的にかんがえられるなら、その方法を教えてあげた方がいいように思います。
いきなり高いレベルからスタートする必要はないですよね
もちろん、先に解いた分数を使って考える方法も、ダメだというわけではないですし、分数を使うことで、より抽象度が上がった思考ができるようになるという面はあるような気がします。
ですが、ハードルが高い。
ですから、よりハードルの低いやり方で、「できる実感」をつかませ、徐々にその難易度を上げていけばいいのじゃないかと思います。
算数教え方講座に戻る