頭を使って計算する習慣だけで偏差値が10は上がります
手段はどうあれ、正確で速い計算力は身につけておく
計算問題と聞けば、なんだ、単純なことの繰り返し、面白くない、と、こう考える大人も子供も多いのですが…
単純計算なんだから、公文で練習しておけば十分でしょ、算盤がいいのじゃないか、それだったらもう取り組んでいる。偏差値が10上がるなんて嘘だろ、いい加減なこと書かないでほしい。
その考え方、半分は正しくて、半分は間違っています。
足し算や引き算、掛け算、割り算のいわゆる四則演算は機械的にできないといけないのはもちろんです。正確に、しかも速く。
この限りでは、公文も算盤も役に立ちます。
ですが、問題は取り組み方。
無目的、無目標でだらだら取り組むだけだったら、嫌々やっているだけだったら、効果はないに等しくなってしまいます、特に「中学受験の算数」に関しては。
実際、中学受験を目指す小4や小5、中には小6になっても、簡単な計算を何でもかんでも筆算に頼っている、そこまでいかなくても、計算するときに頭を使うことすら知らない、そんな子は結構いるのです。
今まであちこちで散々書いてきたことですが、このように筆算に頼ってたり、計算するときに頭を使わない子は、だいたい、計算のスピードが遅く、入試問題レベルのことをやるときに大きく出遅れてしまいます。
それどころか、計算をしないといけないところごとに思考が分断され、スムーズに問題が解けなくなってしまう。これは大問題です。
計算に速さと正確さを身につけさせてあげること、これは最重要課題です。
この意味では、公文や算盤が役立ちます。そして先に「半分正しい」と書いたのはこの意味です。
次のレベルとして、暗算を勧めます。
2けたどうしの足し算や引き算、2けた×1けたの掛け算、これぐらいは暗算をどんどん使うべし。
暗算することで脳が活性化されて、頭もよくなります。
(残念ながら実証データはありません。ボクの印象です)
暗算で答えを出そうといろいろ工夫をするなかで、「数を合成したり分解したりということ」も身につけていきます。
中学入試の算数の問題では、数を扱う問題も多いですが、数を合成したり分解したりということに慣れておけば助かる場面も数多くあります。
無目的に、ただ単純計算が速ければいい、と計算練習を続けても、こういった「数の合成・分解」のレベルには到達しません。速くて確かな計算力は必須の課題なんですが、それだけだと「算数力」は身につかないのです。
勉強が進むにつれ、習ったことを確実に自分のものにしていかないといけないことがどんどん増えてきます。
比を簡単にするときも、円周率の計算をするときも、複雑な体積の問題、表面積の問題を解くときも、自信を持って答えを出し、さらに次のステップに上るためにも、日頃から計算力は磨いてください。そしてその上で、次のステップを考えないと「難関中学合格」は覚束ないのです。
頭を使って計算する
与えられた問題を、ただだらだら前から順番にやるのって、苦痛だし、何より面白くない。
面白くないと感じながらする勉強は、身につくことが少ない。
ですから、させ方や実際に問題を解くときに工夫をしましょう。
させ方の工夫としては、
時間を計って、記録をつけ、好記録が出たら大げさに褒めてやる(褒めるというのは「やる気」の源になります)、とか
問題がレベルAとかレベルBとかに分かれていたら、まずレベルAを確実にさせるとか。
解くときの工夫は、
A×C+B×C=(A+B)×C、などの計算の工夫をどんどん使う、とか。
(計算の工夫については、話が長くなるので、別項で取り上げたいと思います)
ではその重要な計算力、どうやって磨けばいいか
これはもう、ある程度数をこなすしかない!と考える方も多いでしょう。
その通り。
ですが、もっと大切なことがあります。
それは「集中力」。
短い時間、真剣に取り組ませる
簡単な「百ます計算」でも、実は効果はあります。
百ます計算をやるときに、時間を計ることが多いですよね。
ここがポイント。
昨日のタイムが3分12秒だとしたら、今日はその記録を何としても破る!
こんな意気込みで取り組めるかどうか、です。
本気で集中する時間はわずかでも、そのときにわき目もふらず一心不乱に解く。
これが脳の働きを活性化させ、計算のみならず、ほかの勉強にも生かされていく。
ですから、かんたんな計算ドリルをやるときでも、ただ漫然とやっていくのではなく、たとえ5分でも「必死に」取り組めるようにする、そういう環境を用意してやるだけで、効果は十分に感じられるはずです。
だらだらと100問やるのでなく、必死に20問やったほうが伸びる可能性が高い。
それぐらい割り切って取り組ませましょう。
数の合成や分解に慣れること
また、数の合成や分解のための練習としては、約数を求める練習や、素因数分解を頭の中でやってしまうという練習も役立ちます。
これも繰り返しが大切。そして、日ごろ接する数字に敏感になっておきましょう。
ある生徒は塾への送迎の車の中から見える自動車のナンバープレートの数字を素因数分解してみたり、約数の個数を考えたりして遊んでいたという話も聞いたことがあります。こんなことでも将来役立ったりするのです。
たかが「計算」、されど「計算」
本気で取り組んだら、難問まで取り組める脳が作られていく、嘘だと思うなら、以上書いてきた方法で、子供に「真剣に」「毎日」させてみてください。論より証拠、めきめき算数力は向上します。
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