算数を「易しく」教える方法を考える
分数で考える「難しさ」
ある仕事を兄は10日で、弟は15日でやる。二人でやると何日で終わるか。
典型的な仕事算の問題です。
これをボクは昔、次のように教えていました。
- 全体の仕事量を1とする。
- 兄は1日に $\frac{1}{10}$、弟は1日に$\frac{1}{15}$するので、二人でやれば1日に$\frac{1}{10}$+$\frac{1}{15}$=$\frac{1}{6}$
- なので、かかる日数は、1÷$\frac{1}{6}$=6日
二人でやったって、そうそう思惑通りにはいかないよ~なんて議論は置いておいて・・・。
この解き方は、これでもちろん正しいのです。
今でもこういう教え方をしている塾は存在するし、別に否定しているわけではありません。
分数で考えることをやめたら「簡単」になる!
でもこの考え方、子供にとっては少々難しい。
まず、分数が出てくること。
さらに、1を分数で割る!意味不明~となります。
そこで、次のような例を出して子供たちの反応を引き出します。
10でも15でも割れる数の30個のみかんがある。これを兄は10日で食べ、弟は15日で食べる。
1日に食べるのは、兄 30÷10=3個、弟 30÷15=2個、二人だと3+2=5個
すると、子供らは勝手に割り算を始め、6日で無くなる、と言い出します。
分数で割るのはダメだけど、整数だとイメージしやすいのです。
印象に残りやすい方法で教える
授業では、「みかん」ではなく「すいか」を使うことも多い。
毎日3個のスイカを食べる、なんていうと、「お腹こわす~」とか「無理~」とか声が聞こえてきます。
そこで、「毎日3個ずつ食べたらお腹壊すけど、それでも毎日毎日3個ずつ10日間食べるのだ~」
「アホな兄弟やなぁ」
「先生、お腹壊したらどうなるの?」などと尋ねられたら、教壇で「イテテ」とか言いながら大げさに演技。
こんなやりとりをしているうちに、「仕事算、面白い」とかいった反応が子供たちから出てくる。
こうなったらしめたものです。
そこで、仕事算の話に戻ると、
- まず全体の仕事量は整数で表す。日数で割りきれる数だと扱いが楽。普通は日数の最小公倍数を使う。
- 次に、1日辺りの仕事量。これは、全体÷日数で求める。
ここまで準備しておけば、大抵の子はちゃんと処理ができるようになります。
浜や希のテキストを見ると、こういった考え方が主流だと分かります。
たいていの塾は、仕事算の後にニュートン算を扱う。
ニュートン算ときいて「えー!?」という生徒は、最近では少ない。
(かつては、一部の算数が得意な生徒は喜んでいたけど、そうじゃない子は表情が険しくなっていた…^^;)
というか、むしろ、喜んで食いついてくる。
これも仕事算を「整数処理」で解けるようになったからだ、と思う。
難しいことを、難しいまま教えない。
易しいことを難しく教えない。
難しいことを易しく、易しいことは楽しく教える。
これがボクの算数の流儀です。
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