
先日、「西大和の入試問題って正しく学力を測れるの?」って記事を書いたら、結構見てくれているようなので、気を良くして「第2弾」を!と思ったのですが、あまりに暴露話になってしまっても三流週刊誌っぽくていやなので、今回は、もう少しマイルドな路線で書いていきます。
前回、西大和、清風南海、東大寺の入試のことを書きました。
今回は、灘中学校。
灘中でも、算数(だけでなく国語もですが)の難易度はけっこう変動があります。
次の表は、灘中学校のサイトからお借りしてきたものです。
各教科の平均点(受験者の平均と合格者の平均)
23年度 | 24年度 | 25年度 | 26年度 | 27年度 | ||
国1 80点 |
受 | 54.5 | 60.6 | 51.0 | 51.7 | 52.7 |
合 | 59.2 | 63.7 | 56.1 | 55.3 | 59.1 | |
国2 120点 |
受 | 59.4 | 77.8 | 66.7 | 71.9 | 81.1 |
合 | 65.3 | 81.3 | 72.6 | 77.9 | 88.5 | |
国計 200点 |
受 | 113.9 | 138.3 | 117.8 | 123.6 | 133.8 |
合 | 124.5 | 145.0 | 128.7 | 133.3 | 147.7 | |
算1 100点 |
受 | 58.3 | 66.5 | 45.0 | 57.2 | 41.9 |
合 | 71.8 | 79.4 | 58.6 | 73.3 | 54.4 | |
算2 100点 |
受 | 44.9 | 71.4 | 54.9 | 49.7 | 52.7 |
合 | 63.8 | 86.2 | 70.3 | 63.9 | 64.6 | |
算計 200点 |
受 | 103.2 | 137.8 | 99.9 | 106.9 | 94.5 |
合 | 135.6 | 165.6 | 128.9 | 137.2 | 119.0 | |
理科 100点 |
受 | 66.3 | 65.0 | 68.2 | 64.1 | 68.6 |
合 | 75.2 | 75.6 | 74.9 | 72.5 | 76.3 |
これを見ると、24年度(2012年度)の算数は、1日目・2日目とも他年度と比較すると易しめで、算数がものすごくできる子と普通の灘中受験生レベルぐらいの子の差がつきにくかったことが分かります。
(そもそも算数が苦手っていう子は灘受験しないっしょ)
逆に、25年度と27年度の1日目、平均点がとても低いですよね。
灘は2日間入試があるので、この1日目の結果で凹むと、2日目もまず失敗します。難しいときにはみんな難しいと思っている、みんな出来なかったと思っている。
この気持ちの切り替えが大切。
2日間入試の方が子供の力を正確に反映する
そして大事なことは、2日間にわたって算数・国語のテストが2回ずつあるということ。
なぜか。
1回目で多少失敗しても挽回できる(可能性がある)ということだけではなく、学校にとってもメリットがあります。
この前書いた(ややエラそうにこき下ろした感があります。すみません)東大寺や西大和、清風南海のような、作成者、出題側の失敗を帳消しにできる(その可能性が高い)ということです。
入試を2日間にわたって行うことは、学校側にとってもかなり手間がかかるし、受験生も2日間の拘束になるわけですから、敬遠される可能性もあります。
それでもそれを継続していく意味は十分にあるようです。
2日間入試は減っている
今現在もこのような2日間入試を行っている学校は、とても減りました。
灘・甲陽・関学。主な関西の学校ではこの3校でしょうか。
四天王寺や神戸女学院もかつては算数・国語に関して2日間入試を行っていましたが、今は1日です(神戸女学院は2日間の拘束になりますが、学力テストは1日目のみです)。
関西から多くの受験生を集めていた鹿児島のラ・サール中学や愛媛の愛光中学。
ここもかつては2日間入試で、算数と国語は2回入試を行っていました。(今は受験生の負担を考えて1日で終了です。それに、2日間入試をすると受験生が集まらない!)
和歌山の智辯学園和歌山中学は、算数と国語を2回ずつ試験していました。ですが、これは1日の間に、ということで、受験生の負担は大変なものでした。
子どもたちが何年にもわたって頑張ってきた成果を見る試験が入学試験です。
ならば、学校としては、この成果をきちっと判断してあげて欲しいと思います。
そのためには、良質な問題を作成して実施してほしいということと、多少受験生が減っても2回入試を行うなど、判断する基準にムラが出にくい方式を考えて欲しいなぁ、なんて考えます。
複数回入試を救済策に
有名なところで清風の複数回入試に対する加点がありますが、他にも噂レベルでは、複数回入試に対し、加点しているのではないか?とか、手心を加えてくれている、とか考えられるような入試結果が出ることが多々あります。
開明中学では3回入試を行いますが、3回とも受験すればよっぽどでない限り救ってもらえる、とか
奈良学園でも同様で、どうしても奈良学園に入りたいという場合、3回受験を勧めると、3回目にはほぼ合格がもらえる、とか
もちろん、学校が確約してくれるわけではありませんし、3回受験すると問題傾向にも受験会場の雰囲気にも慣れて、高得点しやすいのかも知れません。
学校が2日間入試を行うと、中堅レベルの学校はほぼ確実に受験者を減らしますから、2日間入試にしようということには絶対になりません。
ですが、前期と後期とか、A日程・B日程とかの名目で複数回入試を行う学校が、この中堅レベルの学校では多く、そういった学校が、どうしてもその学校に合格したい、という受験生に複数回受験することを条件に門戸を広げてくれることは、とてもありがたいことだと思います。
実際、学校の先生に話を伺うと、たいていの学校の先生は、次のような話をされます。
どうしても本校に入学したいというお子さんは、入学時の成績がそれほど奮わなくても、本校に入学後に必ず活躍してくれます。学級の活動を率先して行ってくれたり、クラブ活動を頑張ってくれたり。そして、そういった子は必ず大学受験でも立派な成績を残してくれます。
中学入試で本当に大切なことは何か、考えさせられる言葉です。