
泉州の灘校
昔々、清風南海が開校したとき、「泉州の灘校をめざす!」という触れ込みだったそうですが、果たして今それはどうなっているのでしょう?
清風南海学園が創立されたのは、今から半世紀前の昭和38(1963)年。
大阪市内にある清風学園の姉妹校として創立されました。
創立者は、清風グループの総帥(とかいうとお叱りを受けそうですが)の、故平岡 宕峯(ひらおか とうほう)氏。
宕峯氏の確か長男の平岡英信氏が清風学園の校長(現在は英信氏の息子の平岡 宏一氏が清風の校長を務めていらっしゃいます)を継ぎ、次男の平岡正巳氏が清風南海の校長を継いでいます。
(巷によくみられる同族経営ですね。)
中学校が併設されたのは1983年といいますから、これも今から30年以上昔の話。
もともとは男子校で、中学校が男女共学になったのは1999年から。
男子校としてある程度の実績を上げてはいましたが、共学に踏み切ったことで優秀な女子が多数入学し、大学進学の実績が安定してきたような感じです。
進学実績
そもそも学校は進学実績だけで語るものではありません。
塾や予備校だと教育のうちの「知育」に特化しても何ら問題はありませんが(むしろ成績を上げるということをしないと、その塾は廃れます)、学校は知育のみならず、徳育や体育も含め、集団行動を通じて社会に出るための必要最低限のことを学ぶ場です。
ですが、保護者としては、知育、特に大学進学の実績というのは最も気になるところです。
2020年度の大学入試の結果は清風南海のホームページをご覧ください。
概要を書きます。
2020年度 大学入試 合格実績概要
東大 6名(うち現役4名,現役で理Ⅲに1名!)
京大 28名(18名,医学部医学科に現役で2名!)
阪大 33名(20名)
神大 21名(11名)
大阪市大 25名(15名)
などとなっています。
医学部医学科合格状況
東大理Ⅲ 1名
京大医学部医学科 2名
阪大医学部医学科 2名
神戸大医学部医学科 2名
大阪市大医学部医学科 7名
など49名
清風南海中学の入試日程と入試結果
学校ホームページに、2020年度入試要綱と過去の入試結果が掲載されています。
清風南海の各入試
A入試は通常の前期に当たります。といっても、清風南海は大阪の他の中学と同一日程ではなく、1日遅らせた日に設定しているので、たとえば男子なら大阪星光、女子なら四天王寺都の併願が可能です。
その2日後、B入試(後期日程)の入試があります。
午後入試はありません。
謎な設定の「SG入試」
そしてさらに、「SG入試」という謎な入試まで行っています。
日程は通常のA入試と同じ。
これは、帰国子女枠かなと思ったのですが、そうでもないようで、単純に英語検定などの資格を持っている受験生を優遇する入試のようです。
英検なら準2級で+10点,2級で+50点、準1級以上で+100点が、算国理の成績に加点されます。
学校の雰囲気、校則、クラブ活動その他
「みんなの高校情報」というサイトで、評判が多数書き込まれていました。
これに、管理人の教え子たちの話を加えて書いてみます。
雰囲気
勉強に向けて、みんな一生懸命頑張る雰囲気はある。
放課後も自習で残る生徒も少なくなく、それなりに意欲を持って頑張っている生徒は多い。
いじめはほとんどないらしい。(子供たちもすべて見ているわけではないので、絶対にとは言い切れないが、自分たちの知る限り、みんなわきあいあいとしている。)
授業と通塾
先生によって、分かりやすかったり、分かりにくかったりする。紳士的な先生がほとんどで、高圧的に何かさせるということはない。
課題は多い。S特は補習も充実している。ただ、特進コースはそれなり。(これについては、やっていなくても何らお咎めもなく、放置されていると感じている生徒の声もありました。)
特進コースからスーパー特進コース(S特)へのコース変更も、がんばっていれば可能性があります。
通塾率は高い。中学入学時から難関大学を目指そうという子は、研伸館や鉄緑会などに早くから通っていて、学校の勉強と塾の勉強の両方を頑張っている。
(管理人の教え子の中には、学校の勉強だけで難関大学に行った子もいますが、そういった子は稀だそうです。)
勉強や将来の進学に対する意識はみんな高く、そんな環境にうまくなじめた子は、自分もがんばるという意識をしっかり持つことができますね。
ただ、進度は早くて、少し気を抜くとおいて行かれることも多く、その時のフォローは決して充実しているとは言い難い。
ですが、難関校の多くはどこでもそうです。
要は、本人次第。中学、高校になって、親がかりで勉強しないといけないとなると、そっちの方が問題だし、その子の将来が心配ですね。
学校内予備校
最近導入された「学校内予備校」。働き方改革が学校にも及び、先生方の過重労働を回避できるということで、それなりには評価できるのかもしれません。
しかし、毎月の授業料が、学校の通常の分に加えて数万円余分にかかる、とか、教える先生が年配の、いったん退職された先生が多いとかの噂は耳に入ってきています。
西大和にも導入されたと聞きましたが、こういったシステム、保護者はどう受け止めているのでしょうか。
クラブ活動
それなり。成績低下でクラブに参加できないということはある。
学業優先。
活動は、運動部で週3回とか4回程度。それなりには厳しさや上下関係も当然あるが、厳しすぎることはない。
校則
頭髪検査は厳しい(特に男子)。女子はそれなりにおしゃれも楽しめる雰囲気がある。
携帯は禁止だが、遠方からの通学者はみんなこっそり持ってきています。
校則を破った場合は、清風もそうですが、般若心経の「写経」が待っています^_^;
立地
学校は南海本線沿いにあり、最寄駅は北助松駅か高石駅。北助松からは徒歩5分、高石からは徒歩10分。それぞれ線路沿いを歩けば到着します。
どちらの駅も各駅停車しか止まらないので、その点が不評です。ただ、長い坂道もないし、駅周辺に歓楽街もないので、親としては安心できる立地ですね。
昔の教え子は、卒業後、2度と学校には行きたくないという子もいましたが、最近の子は、けっこう気軽に卒業後も学校に行ってるようで、特に共学になってから雰囲気が良くなったのではないかと思います。
冒頭の「泉州の灘校」という目論見はうまくいかなかったようですが、共学化によって、大阪では私立の中で第2位の地位を築き上げているように思います。
※ この記事は、2015年に書いたものに大幅に加筆・修正を加えたものです。
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