
速さでも比を使おう
速さの問題も、比が利用できると楽に解けることも多くあります。
進む時間が同じとき
【例1】A君とB君が100m競走をしました。同時にスタートし、A君がゴールに入ったとき、B君はゴールの手前20mのところにいました。A君が秒速7mで走ったとすると、B君は秒速何mで走りましたか。
A君が100m走るのにかかった時間は、えーと、100÷7だから14と7分の2秒で、その間にB君は100-20=80m進んだのだから、80÷14と7分の2だから、えーと、・・・
などと考えれば手間も時間もかかってしまいます。
そこで「比」の登場です。
速さと比のポイント1
同じ時間進むとき 速さの比=進んだ距離の比
この問題では、A君が100m進む同じ時間で、B君が80m進んだことになります。
このとき進んだ距離の比は100:80=5:4
ですから、速さの比も5:4.
Bの秒速は、7÷5×4=5.6mとなります。
もう少し、簡単な例をやってみましょう。
【例2】P地点とQ地点は800m離れています。A君はP地点から分速120mで、B君はQ地点から分速80mで、同時に向かい合って出発しました。2人が出会うのは、P地点から何mのところですか。
同時に出発すると、出会うまで同じ時間進みます。
ということは、出会うまでに進む距離の比は速さの比と同じで、120:80=3:2
A君が進んだ距離を③、B君が進んだ距離を②とすれば、2人で合わせて⑤=800m進んだということです。
①=800÷5=160m
出会った場所は、A君の進んだ③=160×3=480m地点です。
上のような図を描いて考えるといいですよ。
すすむ距離が同じとき
【例3】兄は家から学校まで分速100mで歩いていき、妹は家から学校まで分速75mで歩いていきます。同時に家を出たところ、兄が妹より3分早く学校につきました。家から学校まで何mありますか。
解き方を2つ紹介しましょう。
[解法1]
速さの比が4:3で、兄が学校に着いたとき④進んだとすると、妹はこのとき③進んでいます。
あと①すすめば学校ですね。
3分かかるので、
①=75×3=225m
ですから、学校までの距離は④=225×4=900mとなります。
[解法2]
次のポイントを利用します。
速さと比のポイント2
同じ距離を進むとき 速さの比とかかる時間の比は逆比の関係
家から学校まで、同じ距離を進むので、
かかる時間の比は、速さの比の逆比で3:4
兄が③分かかるとき妹は④分かかるということです。
①が3分なので、兄は3×3=9分かかったことが分かります。
100×9=900mですね。
次の例も考えてみましょう。
【例4】山のふもとから頂上までを往復します。登りは毎分40m、下りは毎分60mで歩きます。往復で3時間かかったとすると、ふもとから山の頂上まで何mありますか。
登りも下りも同じ距離を進みます。
ということは、かかる時間の比は速さの逆比。
速さの比 40:60=2:3
なので、時間の比は3:2となりますね。
登りに③分かかるとすると、下りは②分、往復で⑤分かかります。
⑤=3時間=180分
①=180÷5=36分
ですから、登りにかかった時間は36×3=108分
すすんだ距離(片道)は
40×108=4320mですね。
今回紹介した「速さと比」は、難しい速さの問題でこそ役に立つ考え方です。
図を上手に描き、使える部分がないかをよく考えていくことが、難問に対応できる力を養います。
お父さんやお母さんも、速さの問題を方程式で解くのではなく、比を上手に使ってはいかがでしょう。
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