親のための算数講座(4) 比合わせ
算数講座第4回は「比」です。
中学受験の算数は、比を上手に使うことができるかどうかで、得点力が大きく変わってきます。
割合がらみの問題だけではなく、速さの問題や図形の問題にまで、比が活躍しますから、親としては、何としても一通りの理解をしておきたいところです。
比合わせ
【例1】AとBの所持金の比は2:3、BとCの所持金の比は4:5のとき、AとCの所持金の比を求めなさい。
共通の登場人物はBなので、Bの大きさをそろえましょう。
Aと比べると、Bは3、Cと比べるとBは4ですから、Bを3と4の最小公倍数の12としましょう。
A:B=2:3=8:12
B:C=4:5=12:15
となりますから、A:B:C=8:12:15とできますね。(これを連比といいます。)
なので、A:C=8:15となります。
【例2】A駅からB駅に行く途中の、C地点に図書館が、D地点に学校があります。AC間とCB間の道のりの比は1:3、AD間とDB間の道のりの比は2:1です。図書館から学校のまで400mのとき、A駅からB駅まで何mありますか。
同じものがないかを考えてみます。
図にすると分かりやすいのですが、
A → 1 → C → → 3 → → B ・・・ A~Bは4の距離(ア)
A → → 2 → → D → 1 → B ・・・ A~Bは3の距離(イ)
等しいはずのAB間の距離が4だったり、3だったりしますね。
そこで、このAB間の距離を3と4の最小公倍数の⑫としましょう。
すると、
アからA~Cは③、C~Bは⑨
イからA~Dは⑧、D~Bは④
C~Dは⑧-③=⑤となりますね。
これが400mなので、①=400÷5=80m
A駅からB駅までは⑫なので、80×12=960mとなります。
倍数算
【例3】A君とB君のはじめの所持金の比は2:5でしたが、2人とも500円ずつもらったので、所持金の比は1:2になりました。はじめのA君の所持金はいくらでしたか。
比を使って解く文章題です。
これも同じものがないか考えてみましょう。
線分図を描いてみるとわかりますが、
同じ大きさが増えたり、同じ大きさが減ったりする場合、差は変わりません。
(これ、大切!)
つまり、所持金の比の差を比合わせすればいいということです。
はじめ 2:5 → 差は3
あと 1:2 → 差は1
3と1の最小公倍数は3ですから、この差を③としましょう。
すると
はじめのAは②、Bは⑤
あとのAは③、Bは⑥
となり、2人とも①増えていますね。
これがもらった500円ですから、はじめのAの所持金②は
500×2=1000円となります。
【例4】姉と妹の所持金の比は7:5でしたが、姉が妹に500円渡したので、姉と妹の所持金の比が4:5になりました。はじめ姉はいくら持っていましたか。
こんどは、やり取りの問題です。
2人や3人でやり取りする問題もよく出題されます。
この場合、大切なことは、
やり取りしても合計(和)はかわらない
ということ。
ですから、はじめとあとの「比の和」を作ってみましょう。
はじめは、7+5=12、あとは、4+5=9で、この12と9が等しいということになりますから、
2人の所持金の和を12と9を比合わせして、最小公倍数の[36]としましょう。
すると、
はじめの姉は[21]、妹は[15]
あとの姉は[16]、妹は[20]
となって、姉は[5]減り、妹は[5]増えているのが分かります。
これが500円なので、[1]=100円
ですから、はじめの姉の所持金は[21]は100×21=2100円ですね。
まとめ
比合わせは、こうした文章題だけでなく、図形などほかのいろいろな場面で使える、非常に大切な考え方です。
ですから、親としては、この考え方をしっかりマスターしておいた方がいいのです。
子どもも、お父さん、お母さんに尊敬の眼差しを向けること請け合いです(^-^;
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