
前回、割合の公式はいりませんと書きました。
簡単なことをややこしく教えるのは労力がかかります。
そして何より、子供のやる気をそいでしまいます。
大切なことは、
いかに難しいことを易しく教えるか、ということ。
どの塾も、こういったところには苦心しているのですね。
分数の魔法
さて、今日は割合と分数。
子供たちは、どちらかというと分数を扱うのは苦手です。
でも、教え方一つで、分数の割合がとても楽しいものになります。
【例1】太郎君は持っているお金の7分の2でノートを買うと350円残りました。持っていたお金はいくらですか?
分数の基本は、○○に分けたうちの△△分という意味。
これを利用しましょう。
1 持っているお金を7つに分けるので、⑦とします。
2 使うのはこのうちの2つ分、つまり②です。
すると、残りのお金は⑦-②=⑤ですね。
これが350円なので、①=350÷5=70円
ですから、初めに持っていたお金は⑦=70×7=490円となります。
【例2】花子さんは持っているお金の3分の1でお花を買い、5分の2で花瓶を買うと1200円残りました。持っていたお金はいくらですか?
今度は分数が2つ出てきました。
3分の1ということは、持っているお金を3つにわけないといけません。
5分の2ということは、持っているお金を5つにわけないといけません。
ということは、3でも5でも割れる数、つまり、最小公倍数の15を利用しましょう。
1 持っているお金を3と5の最小公倍数の⑮とします。
2 お花は、⑮÷3=⑤、花瓶は⑮÷5×2=⑥になりますね。
すると、残りのお金は⑮-⑤-⑥=④になりますね。
これが1200円なので、④=1200円
①=1200÷4=300円ですから、持っていたお金は⑮=300×15=4500円となります。
応用してみましょう
次は、この考え方を少し応用してみましょう。
【例3】二郎君の学校の5年生は、男子が学年全体の8分の3より16人多く、女子は学年全体の12分の5より4人多いそうです。5年生の人数は何人ですか。
例2と同じように、全体の人数を決めます。
分母の8と12の最小公倍数24を使って、全体の人数を㉔とします。
8分の3は⑨ですから、男子の人数は「⑨+16人」
12分の5は⑩ですから、女子の人数は「⑩+4人」
男子+女子=㉔ですから、⑨+16人+⑩+4人=㉔
整理すると、⑲+20人=㉔
⑤=20人と分かりました。
①=20÷5=4人ですから、全体の人数は㉔=4×24=96人
(以上を、線分図を使ってまとめてやると、もっと理解が深まりますね。)
分数のままでもできますが…
分数にこだわって、「全体を1として…」とやると、もう大変。
分数そのものが分かりにくいうえに、1って言われても…と、子供たちの頭の中が大混乱。
理解させるのに多大な労力がかかります。
ですから、この①を使うやり方でまず「簡単なんだ」と思わせること。
これが肝心です。
今回の問題は、「相当算」という文章題です。
分数の割合ではなく、百分率や歩合で出てくることもあります。
ですが、それらを分数の割合に直して全体をいくつ○とかにしてやると、同じように問題がすいすい解けますから試してください。
親のための算数講座に戻る