灘中学校のサイトに、今年度の入試資料が公開されています。灘中学校を志望校にしている人はぜひ目を通しておいてください。
1.人数および倍率
まず「受験者数や倍率」です。
募集人数はずっと180人です。
これに対し、受験者数は、
552人(H23) → 606人(H24) → 623人(H25) → 671人(H26)
と徐々に増えていましたが、今年度(H27)は594人と、4年ぶりに600人を割りました。
したがって、倍率は、
3.13倍(H23) → 3.42倍(H24) → 3.54倍(H25) → 3.85倍(H26) → 3.40倍(H27)
と、やや下がっています。
合格者数は
207人(H23) → 216人(H24) → 222人(H25) → 226人(H26) → 228人(H27)
となっており、実質倍率は、
2.67倍(H23) → 2.81倍(H24) → 2.81倍(H25) → 2.97倍(H26) → 2.61倍(H27)
で、今年度は、ここ数年で最も低い実質倍率となりました。
灘中は易しくなったのか?
では、実質倍率が下がったから、今年は灘が狙い目だったのでしょうか?
いえいえ、とんでもありません。
合格すれすれよりももう少し下の層(あわよくば合格組)が安全策を取って甲陽や大阪星光に流れたと考えられます。
男子最難関の併願黄金パターンは、「灘(→西大和)→東大寺(洛南)」ですが、昨年、異変が起こりました。
東大寺3科受験者の撃沈です。
灘はご承知のように、算・国・理の3科受験です。東大寺は3科または社会を入れた4科。
その、灘受験者の併願校1番手の東大寺が、昨年の入試で理系科目を極端に難しくした。
その結果、多くの灘中受験生が、東大寺不合格となった。
従来の「灘×→東大寺○」というパターンが崩れ去り、「灘×→東大寺×」の可能性が大きくなったということなんです。
そこで、今までのあわよくば合格組は、あえて灘を外して、初日は甲陽か大阪星光という道を選んだ。
その結果として、見かけ上は灘の実質倍率低下につながった。
こう考えていいのではないでしょうか。
2.各教科の平均点(受験者の平均と合格者の平均)
ここで注目してほしい点は2点あります。
合格者平均と受験者平均の差に注目
まず国語。
2日間の合計を見ると、「合格者平均-受験者平均」は
10.6点(H23)→6.7点(H24)→10.9点(H25)→9.7点(H26)→13.9点(H27)
となっています。今年度は、ここ数年で、差が最も大きくなっています。
今年は例年に比べて特に2日目の国語の平均点が高く出ています。
そうなると、差がつきやすくなり、国語に難がある受験生にとっては非常に不利になります。
灘は「算数ができたら合格する」というだけの学校ではないのです。
次に算数
2日間の合計を見ると、「合格者平均-受験者平均」は
32.4点(H23)→27.8点(H24)→29.0点(H25)→30.3点(H26)→24.5点(H27)
今年は、点差が縮まっているのが分かります。
ひょっとすると、算数がそれなりにできても国語失敗で不合格になった生徒が多かったのでしょうか?
算数1の平均点の低さに注目
今年の灘中入試のトピックは、なんといっても1日目の算数1の難しさでしょう。
受験者平均も合格者平均も、ここ5年間では最も低くなりました。
なぜこれに注目してほしいか。
それは、1日目の算数の出来・不出来が合否を分ける!ということではありません^_^;
1日目の算数がこれだけ難しいと、子供たちほとんどはみんな「できなかった~」と帰ってくるはずです。
(もちろん、灘ですから算数がスーパーできる子も混ざっています。そういう子には無縁の話です。あしからず。)
この場面で、合否のボーダーライン近くにいる子の明暗を分けるのは、いかに気持ちを切り替えるかどうかだけです。
これだけ難しかったのだから、きっとほかの人もできてはいないハズと、しっかり気持ちを切り替えられた人は、合格に大きく近づき、切り替えられずぐずぐずとしてしまった人は、不合格に近づきます。
みんな、鍛えに鍛えられて受験しに来た人ばかり。
そんな中で実力を発揮できるかどうかは、じつは1日目が終わった後の切り替えにかかっているのです。
ここまで、灘中の入試資料からいくつの分析を試みました。
あるいはまったくの的外れに終わっているかもしれませんが、灘中受験をお考えの方は、何かの参考にしていただけたらと思います。