中学受験と塾の神話
塾にまつわる神話の誕生
○○中学に行きたければ、△△塾に通いなさい。 それが難しい中学であれば、多くの人にそれが伝わっていって、やがては神話となる。
なぜこんな話を今しているかというと、例えばある年度の開成中学。
合格者数の塾別の内訳は、1位のサピックスが261、2位の早稲田アカデミーが71、3位の日能研が69と、大差でサピックスが他の大手の進学塾を抑えた。これは全合格者数の6割以上に上る数だ。
開成だけでなく、麻布や桜蔭でも同様の事態になっている。
ここまでサピックスが伸びたのは、もちろんサピックスで働く人たちが優秀だったこともあるだろうが、それでも、日能研など他の大手の進学塾で働く人たちと比べて特に優秀だったとは考えづらい。使用するテキストや教材、授業のシステムなども他塾が大きく見劣りすることもない。
これはまさに「神話」の力だったのではないかと、管理人は考えるわけです。
何しろ子供の一生を左右することになるかもしれない中学選び。○○中学に少しでも近いところからスタートしたいと思うのは、親の心情としていたしかたありません。
子供を何としても開成中学に入れたい親は、こうして、近くの日能研より遠くのサピックスに子供を預けることになります。
結果、開成を目指すような力のある子が多くサピックスに集まってきて、ますますサピックスから開成に合格する人数が多くなる。
一方の日能研からすると、今まで来てくれていた優秀な子供がサピックスに流れて行くので、上位の子の割合が減ってしまって、結果、実績が低下する。
ですから、いかに優秀な子を獲得するかが塾の生命線になってくるのです。
だったら、そこまで優秀じゃない子供は伸ばしてもらえない?
おや、でもちょっと待ってください。
普通、優秀な子を獲得すると、その子たちは結果を残しますよね。じゃ、もともと優秀じゃなかった子は伸ばしてもらえないのですか?という素朴な疑問がわいてきます。
そこで、子供は伸ばしてもらえるのか、大多数の塾の状況をお話しします。
塾で成績は伸びるのか?
仮に1学年の塾生が10人の塾があるとします。(とりあえず全員男子と考えます)
その中には、塾に入った段階で①「とても優秀」、②「まずまず優秀」、③「ふつう」、④「少し劣る」、⑤「だいぶ劣る」の子供たちが含まれています。
さて①に入る生徒は全体の1割、A君とします。
②は2割,b君とc君
③は4割,ア君とイ君とウ君とエ君
④は②割,△君と□君
⑤は1割,●君
この生徒たちが卒塾していく頃には次のような感じになるでしょう。
①グループ(A君) ②グループ(b君,ア君) ③グループ(c君,イ君,ウ君,△君) ④グループ(エ君,□君) ⑤グループ(該当者なし)
とても優秀だった子はよほどのことがない限り、ずっと「とても優秀」
で,その下のランク。上がる子もいれば下がる子もいる。いつまでもできない子は残念ながら辞めていく。
これがおおよその姿なのです。
塾の先生が普通に頑張ってさせても、ほぼこの結果は変わりません。
それじゃ、塾に行く意味がないじゃないの?と早とちりしないでください。
塾の中でがんばったから、ふつうレベルの子はふつうレベルを保てるのです。
これが、悲しいかな現実です。
だから、塾は優秀な子を欲しがる。
一旦いい子がやってくる流れができれば、入試でいい結果がでますから、ますますいい子がやってきて、今回のサピックスのように独り勝ちということも起こってきます。
(「とても優秀」かどうかの判断は実は難しいのですが。今とても優秀でも、将来伸びない子もいれば、今はふつうでも磨けば光るダイヤの原石のような子もいるのです。)
普通の子が伸びるために考えないといけないことは?
だったら、普通の子がその位置を脱して優秀な子の仲間入りをするのは無理なんでしょうか。
結論から書けば、「ほぼ無理」です。
ですが、話はこれで終わりではありません。
これはあくまでも「中学受験」に限った話です。
実際には受験はまだまだこの先6年後にもやってきます。
そして、本当の勝負はそこですよね。
優秀じゃない「普通の子」イ君にも、ここでチャンスが巡ってくるのです。
中学受験は、小学校時代の「大人化した頭脳」の持ち主は有利です。
ですが、小学校時代に「子供脳」ふだったイ君も、中学、高校と6年間過ごすうちに、頭脳は嫌でも大人化していきます。
そして、それに「こつこつやる」という特技が加われば、普通に難関大学、うまくいけば最難関の大学も視野に入ってきます。
ですから、仮にイ君が最難関の中学に入学できなかったとしても、それですべてが決まるわけではない。(実際、中学受験では2番手や3番手になる学校からも、その上位の成績の生徒は最難関の学校に合格することはよくありますから。)
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