灘中学校 2015年度 算数第1日(その2)

難問ぞろいの灘中の第1日

灘中の1日目の問題はけっこうな難問が揃っていて、これを時間内に解くことは、優秀な子供でも(あるいは塾で中学受験生の指導にあたっている講師でも)至難の業です。

その中でも例年になく平均点の低かった2015年度の問題解説の続きです。(1~5はこちら

大問6

1/43を小数で表すと,1/43=0.02325581395348837209302…となり,21桁ごとに同じ数字をくり返す小数になります。そして,1/43,2/43,…,42/43はどれも,21桁ごとに同じ数字をくり返す小数になります。次の①□,②□に,1以上42以下の整数を入れなさい。

(①□)/43を小数で表すと,小数第12位が8,小数第13位が3になります。

(②□)/43を小数で表すと,小数第12位が3,小数第13位が9になります。

 

1÷43,2÷43、3÷43,…と延々43個の割り算をすれば、そのうち答えが出てきます!って、そんなことやってられるか!ですよね。

何か簡単な方法はないものでしょうか。

そこで、 問題に書かれた21ケタの数字に注目しましょう。

①の問題に出てくる8と3は、今、小数第15位と16位にあります。これを12位と13位にするには、3ケタ左にするといい。

1000をかけてみると、1/43×1000=1000/43=23と11/43

なので①の答えは11

②の問題に出てくる3と9は、今、小数第9位と10位にあります。これを12位と13位にするには、3ケタ右にするといい。

今度は1/1000をかけてみると、1/43×1/1000=1/43000=0.00002325581395348837209302…

おやおや?これはいか~ん

よく考えると、循環小数なので、0.000023の前の0000のところには0930が入るはず。

0930を入れて0.09302325581395348837209302…が正しい形です。

0.00002325581395348837209302…=1/43000なのであと0.93=93/1000足りません。

1/43000+93/1000=1/43000+3999/43000=4000/43000=4/43

なので②の答えは4

けっこう大変でしたね(^-^; 

大問7

P駅からQ駅に向かう列車Aと,Q駅からP駅に向かう列車Bが,平行な線路上をそれぞれ毎秒14m,毎秒16mの速さで走っています。途中にある長いトンネルにAが入り始めた32秒後に,Bも入り始めました。その後Aが完全にトンネルを抜けるのと同時に,Bの先頭がトンネルから出てきました。A,Bの車両の全体が同時にトンネルの中にあるのは11秒間で,A,Bどちらかの車両の一部でもトンネルの中にあるのは109秒間でした。このとき,Aの先頭が,トンネルに入り始めてからトンネルを出始めるまでに①□秒かかりました。また,A,Bの車両同士が一部でも真横から見て重なるのは②□秒間です。

それぞれの列車の先頭と最後部の移動する様子をダイヤグラムに書いて考えるといいでしょう。速さの比が7:8であることも利用します。

これもかなり手間暇かかる問題です。答えは①64 ②22.4 です。

大問8

右の図の三角形ABCで,Aが中心でCを通る円と辺ABが点Dで交わり,Bが中心でCを通る円と辺ABが点Eで交わっています。㋐の角の大きさが22度,㋑の角の大きさが27度のとき,㋒の角の大きさは□度です。

nada2015 8

 

二等辺三角形、外角定理などを上手に利用しましょう。この問題はおそらく楽勝でしょう。

答えは32度

大問9

半径6cmの円の板を,中心を通る3本の直線で6つの合同なおうぎの形の板に分けて,そのうちの2つをア,イとします。板アは平らな机の上に固定されていて,そのまわりを板イが下の①②③④の順に動きます。板イが初めの位置に戻るまでに通過する部分の面積は,1辺の長さが6cmの正三角形の面積の2倍より□cm^2大きいです。ただし,回転の向きは時計の針が回る向きと逆です。

①点Aを中心に240度回る。②点Bを中心に180度回る。

③曲線BCに沿って,すべらずに転がる。④点Cを中心に180度回る。

nada2015 9-1

nada2015 9-2

 

 

下の図にヒントがありますから、とてもやりやすい問題ですね。

ていねいに作図していくことが何より大切。

①ではAを中心に回転するので、イの通過部分は半径6cmの円のア以外の部分。

次の②ではBを中心に180度回転。

③でイの中心部分はAを中心とした半径12cmの円周上を通り、最後に④でCを中心に180度回転して終了。

これでできた図形を、1辺6cmの正三角形2個とおうぎ形に分けてやるといいですね。

面積は

6×6×π×1/2+6×6×π×1/3×2+(12×12-6×6)×π×1/6

=60×3.14=188.4cm^2

となります。

この問題も冷静に対処できれば楽勝。

しかし、ここまでの問題でも、受験生は四苦八苦でしょう。

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