英語は手段であって目的ではない~京大総長の言葉はもっともだ

2015年10月21日、韓国・聯合ニュースによると、これまでに6人ものノーベル賞受賞者を輩出した京都大学の山極寿一総長が、学生らに「英語はツールの1つでしかない」と助言した。
山極総長はこのほど、日本メディアとのインタビューで、「学生らには春休みや夏休みに短期留学をして国際感覚を養ってほしいが、英語の習得を大学4年間の目標にしてはいけない」と述べ、「大学生活で重要なのは思考力を身につけることであり、それには日本語で考えるのが一番」と主張した。その上で、「日本の大学はこれまで、海外の全ての研究成果を日本語に翻訳し、日本語での研究・教育を強化してきた」とし、「英語で考えても教養や思考力はそれほど身につかない」と強調した。(Record China 10月22日(木)17時30分配信)

小学校や、小学校に入る前から英語や英会話を学習させるご家庭が多いと聞きます。

テレビや新聞のチラシでも、子供英会話のCMを見ない日はありません。

英語は国際語であり、今後日本人が海外で活躍していく上で、絶対に身につけておきたい言語です。

これは、管理人も否定しません。

世は国際化社会。

世界に開かれた一流の大学で学び、世界を相手にビジネスをする重要性は増すばかりです。

日本の企業でも、楽天やユニクロ、そしてホンダといった一流企業(当然海外へも積極的に進出しているし、外国人も多数雇用している)は、社内公用語として英語を使っています。

しかし、こういった一流の企業で活躍するには、英語の読み書きができるだけでは不十分で、コミュニケーションがちゃんと取れること、意思の疎通ができることといった高度なレベルが要求されます。(会議で、英語を使って議論することを考えてください。)

ですから、このレベルまで英語を上達させようとすると、それこそ小さいうちから英語力を磨いていかないといけない、と思うのも無理からぬことです。

ですが、冷静になって考えてみると、この論理のおかしさが分かると思います。

英語ができる人=会社で実績を上げ活躍する人

ではないですよね。

英語がいくらできても、自分の主張をきちんと整理し、場合によっては相手の言い分を十分聞いたうえでこれを論破する。

これは英語力以上に多くの経験や知識に裏打ちされた論理的な思考力や直観的なひらめきといったものが必要なはずです。

これは英語力とは無関係。

英語力を磨く前に、こういった類の論理的思考力や幅広い知識を身につけておかないといけないのではないでしょうか。

そして中学受験の勉強

中学受験では、今のところ、英語ができる・できないは一切関係ありません。

入試科目に「英語」がないからです。

中学入試で最も重要な科目は何か、と問われれば、管理人は迷わず「国語」と答えます。

入試に合格するという目先の目的であれば、算数は重要だし、理科も社会もきちんとやっておかないといけません。

ですが、子供が中学・高校と進み、大学そして社会人になって世の中に巣立っていくとき、国語力は必ず武器になります。

私たち日本人は、まず母国語である日本語で様々なものを理解します。

もちろん、思考も日本語で行います。

知識を得るのも、複雑な問題を考えるのも、興味ある事柄への最初のアプローチもすべて、まずは日本語からです。

日本語の理解が不十分であれば、論理的思考も身につかず、最終的に社会的な敗者の烙印を押される可能性が高くなります。

まず、日本語力を、国語力をしっかり磨き上げることが、これからの長い人生を生きていくうえで非常に重要なのではないでしょうか。

日本語すら十分に使いきれないで、日本語で深く思考できない人間が、いくらネイティブのように英語を操っても、それは見せかけだけのものではないでしょうか。

それに、いかにもネイティブのように発音できなくても、中学や高校の勉強の上に、その後の本人の努力があれば、会話だけでなく、しっかりとした論理的な話の持って生きようも、英語でできるようになるはずです。

さらに

最近では、高度な翻訳の装置も、スマホという誰でも持っているような機械で、気軽にできるようになるでしょう。

英語よりはまず母国語としての日本語、これに磨きをかけた方がよほど建設的だと思います。

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