偏差値に踊らされない~合格校を決める偏差値以上に大切なもの

偏差値という怪物のようなもの

テストを受けた集団の中で、どの位置にいるのかを手っ取り早く知る方法、それが偏差値です。

偏差値がちょうど50なら、集団のちょうど真ん中あたり。

偏差値50というのは、平均点と同じ、という意味です。

計算式は割愛しますが、テストの評価を客観的にできる数字として、今や受験業界にはなくてはならぬものです。

実はこの偏差値、最大値は100を超えることもあり、最小値はマイナスになることさえあります。

母集団(テストを受けた集団)が優秀な子ぞろいで、みんな90点以上の中に一人だけ10点という子がいたら、その子の偏差値はマイナスで表されることになるでしょう。(ボクは、塾のテストで2度遭遇しました。)

つまり、どんな母集団が受験したのか、がとても大切だということです。

少し前、子役で有名な女の子が東京の方の中学入試で偏差値75の中学に合格した、というようなニュースが流れていました。

この「偏差値75」という数字も、どの母集団(つまり進学塾)での成績か、ずいぶんあいまいな書き方をしたものです。

(関東なら、最難関の中学に多数の合格者数を誇るSAPIXのようなところでは、偏差値75という数字はそうそう出ないでしょうね。)

偏差値に頼りすぎる塾講師たち

この偏差値が、最近特に独り歩きを始めたように思います。

これが、入試の際、進路指導や受験校決定でものすごく重視されます。

偏差値が50だったら、この中学かこっちの中学が妥当でしょう、

とか、

偏差値が70あるから、これら難関校は合格間違いありません!

(注:今どきこんな言い方をする塾講師はいないと思いますが。合格の確約になって、もし不合格になった場合、親から強烈なクレームがきてもおかしくないので。ですので、普通は、合格の可能性が非常に高いです、的な言い方をすると思います。もちろん、入試に絶対はありませんが・・・的な補足も忘れてはいけません)

つまり、偏差値による学校のランク付けです。

学校は塾によって、かなり強いランク付けをされています。

(注:どの塾でも、偏差値表というものが存在しています。親にとっては非常にありがたいものなのですが。

この偏差値表を見て、普通の親御さんは、この学校の方が偏差値が高いから受験させよう、とか、難しそうだから受験を諦めようとか考えますよね。)

これから変革を迎える大学入試では、この偏差値で輪切りすることの弊害をなくす、要は、些細な点数にこだわらないで選抜を行えるようにいろいろと考えているようです。「思考力」や「判断力」、「表現力」を正しく評価できるシステムですね。しかし現実的に、50万人の受験生が作成した答案を、偏りなく公平に採点できないのではないか、という懸念が強くなってきています。はたしてうまく機能するものが出来上がるのか・・・

お、そうでした。

これをお読みの保護者の方々にとっては、切実な問題ですよね。

それはさておき、

偏差値という神のごとき存在を崇め奉る、いわゆる偏差値信奉者は、偏差値というデータを最上位において、受験指導を行います。

先に書いた、偏差値が☓☓なので、△△という学校にしましょう、的な指導です。

実は、最近の若い塾講師(全てとは言いませんが、かなりの割合の講師)は、入社1年目や2年目で6年の進路指導の担当になったりします。彼らには偏差値に従うというマニュアルがあるので、相手をする保護者は手こずります。

それほど若くない中堅どころの講師でさえ、ことあるごとにデータです。

偏差値を盾に、志望校の変更を迫ってきます。

もちろん、数字を重視しないといけないのは分かります。入試も数字だけで判断されるし、すべてが間違いだと言うつもりは毛頭ありません。

ですが、数字に表れない、最後のひと伸びはデータではわからないし、子どもの精神状態も数字には表れませんから、すべてデータで判断することは無理でしょう。

ボクがこのブログで再三書いてきたのは、

子どもは1か月でも大きく変わる」ということだし、

3か月あれば別人になる

ということです。

それが子供の可能性だし、中学受験の面白く、また、コワいところでもあります。

偏差値はあくまでも目安です。

偏差値に踊らされない、すべての塾の先生方に今一度考えてほしい問題です。

保護者の方々も、最後まで子供の可能性を信じてあげてほしいと思います。それが、親が子供におくることができる最大のエールです。

偏差値を上げることに腐心するな!

偏差値は上がった方がうれしい

偏差値を上げるな、とは言いません。

もちろん偏差値は上がった方がうれしいですし、親も子もテンションが上がります。

次も「やってやろう」という気になります。

偏差値目当ての勉強はNG

ですが、今これをお読みの受験生を持つ保護者のみなさん、

みなさんの目的は何でしょうか?

子どもの偏差値を上げることでしょうか?

偏差値をあげ、上のクラスに入れることでしょうか?

それとも、目標にしている学校に入学させることでしょうか?

「いや、ちょっと待って。
 偏差値を上げることが、目標校の合格につながるでしょ?」

そうなんです。その通り。

ですが・・・

偏差値が上がっても、目標にしている学校に合格できないこともあれば、

偏差値が上がらなくても目標校に合格することもありますよ。

とりあえず、今の段階の最終目標は、目指す学校の合格、これですよね。

偏差値を気にしすぎず、本当の力を身につけたい

だったら、偏差値を意識しすぎず、本当の実力を身につけることを考えましょう。

目の前の、やるべきことに集中し、確実にそれを理解し、問題を解くときも、きちっと自分の頭で考え、間違っていたら修正していく。

やるべきことはたったそれだけ。

でも、たったそれだけの勉強が、地に足をつけた状態でできない、あるいは、親が焦りからか、次々とあれもこれもと手を出していく。

実は、これは子供の伸びていく力、将来に花開く力を奪っていることになるかもしれません。

偏差値に惑わされないで、伸びる力を育てていくことこそ、何年か後に迫った中学受験にも役立つし、さらには、将来の大学受験、入試改革後の新しい大学受験にも対応できる力をつけていくことになるのではないかと思います。

一つ一つを、出来るだけ自分で考え、解決していく、覚えるべきことは覚え、深く思考すべきは思考する。

将来的にそれは子どもの人生を切り開く大きな力になるのではないでしょうか。

そして、親は子供のそういう勉強を側面から支える

言うは易し、行うは難し。

ですが、多くの親子に接してきた経験から、親が子供の勉強を見守るスタンスとして、こういう面はとても大切だなと感じさせられます。

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