2020年度東大寺算数は難しかったか?

東大寺2020年度算数を概観する

結論から言えば、2019年度の問題と比べて、点数がまとめやすかったと言えます。

受験生全体の平均点が、2019年度 47.0点に対して、2020年度は51.9点と、約5点上昇したことからもそれはうかがえます。

では問題全体をざっくり見てみましょう。

➤ 大問1⑴は計算問題。□を埋める「逆算」の分数計算ですが、分母がややこしい数で、なかなかの難度。実際の問題は

$\frac{1}{1717}$+$\frac{1}{1919}$-$\frac{1}{909}$)×51=($\frac{1}{□}$+$\frac{1}{2121}$-$\frac{1}{1010}$)×70

見た瞬間「こりゃ時間かかりそうだわ」と見切ってもいい問題。

➤ 大問1⑵は見慣れた「割る数不明・余り不明」の問題の応用。落ち着いて対処すれば問題ないはずです。

➤ 大問1⑶は点の移動に絡めた体積を求める問題。動点の位置さえ決まれば図を仕上げることができます。三角柱と三角すいの2つに分けて求めないといけない点は少々難しく感じるかもしれません。

2020東大寺算数1⑶

実際の問題の図

➤ 大問2は食塩水の移し替えの問題。比較的取り組みやすい問題です。

➤ 大問3は平面図形の問題が2題。

⑴は三角形の内部で、辺にそって円を移動させる問題。
三角形の内部で円を移動させる問題は2014年度の入試でも出題されていますから、過去問をしっかりやっていた受験生は「これか!」と、多少は落ち着いて対処できたかも。ですが、簡単にできる問題ではありませんでした。(詳しい解説をかきました。詳細はこちらから

⑵は相似を利用する、見慣れた問題。のはずなんですが、求めたい比がなかなか求められず焦りを誘うかも。

2020年度東大寺算数3⑵

実際の図

➤ 大問4は整数づくりの問題。数え上げることから始めて、自分なりにルールを見つけていきたい問題です。小問の⑴が⑵や⑶の手がかりになりそうです。

2020年度の難易度は

全体的に難易度はやや高め、ですが、手も足も出ないという問題は少なく、今までの練習と当日の落ち着きで、60点ぐらいにはまとめられそうです。

ただ、合格最低点が250点/400点なので、6割の出来だと、合否ぎりぎりのラインよりやや下。他教科の出来にもよりますが、少なくとも6割5分は取っていきたいところです。

例年社会選択者が有利な入試ですが・・・

2020年度の理科の全体平均点は73.6点で、社会の平均点69.7点を上回りました。

つまり3科受験生にとっては有利に働いたと言えます。(4科受験生も、社会を除いた3科で3科受験生と同じ条件で判定してもらえるので、一概に「有利」とは言えないのですが)

3科受験生は、灘や甲陽などと併願していることも多く、算数は鍛えに鍛えられています。
2020年度、3科受験生の算数の平均点は62.6点、4科受験生は46.1点と、その差16点以上!
3科受験生の合格率は相当高くなったと考えられますね。(実際細かなデータが公表されていますが、それによると、3科受験生は受験者の2分の1強が合格。4科受験生の3分の1弱の合格と比べると、相当多い!)

ちなみに2019年度では、理科が66.1点、社会が72.9点と、4科選択者に少し分がありました。

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