西大和の21世紀型特色入試(専願)

西大和学園中学校が専願の推薦入試実施

西大和学園中学校が、またまた面白い試みを考えています。

2020年の大学入試改革を見据えて、ということなのでしょうが、勉強秀才(一般の入試で合否判断)とは別に、推薦で決まる特色入試を実施します。

学校によれば、これは

日本の教育が変わろうとしている節目に、新たな時代に対応する者を評価する入試

だそうで、

西大和学園の教育を通じて、生徒たちが、夢を育み、自らを鍛え、秘められた才能を伸ばし、世界を舞台に活躍する潜在力、問題の発見や解決を生み出す可能性の芽を育てます。

とあります。

どんな入試になるのでしょうか。

入試要項を見てみると

以下、入試要項を簡略化して掲載すると

Ⅰ.募集定員は、1月15日(日)に実施する入学試験と合わせて、男子約180名 女子約40名推薦枠だけで何人とは決まっていません。

Ⅱ.出願資格 専願のみ、入学を確約できる人です。

Ⅲ.出願期間は、通常の試験と同じで、平成28年12月12日(月)~平成29年1月5日(木)なんですが、絶対に事前にしておかないといけないのは「エントリー」です。

エントリーは、11月1日(火)~11月4日(金)で、この間に、ネットでエントリーを済ませ、郵送で書類提出しないといけません。

エントリーをせず、いきなり出願できません!

エントリーした人に対しては、11月中旬に、「提出書類に関する質問会参加者通知」があり、11月中旬以降、「提出書類に関する質問会」が行われます。

ここまで終了した人に対して、ようやく12月上旬に、出願有資格者を決定・通知があり、めでたく出願、となるのです。

出願期間は、12月12日(月)~1月5日(木)で、受験料の振込とweb出願をしましょう。

おそらく「めでたく出願」に至った人は、試験日である1月14日にちゃんと参加し、面接と作文という課題を終えたら、合格という流れなのではないかと思いますが・・・。

ただ、面接での課題が結構きつそうです。

提出書類・資料に関連する質問などを通して、西大和学園に対する関心と西大和学園で学ぶ能力を確認します。また、面接時に課題遂行能力を試すための課題を課す場合があります。論理的思考力、発想力、コミュニケーション能力などを審査します。グループ討論や与えられたテーマについてのプレゼンテーション等を実施します。

え?

その場で討論やプレゼン?って、結構きつい。

これがスムーズにできる小学生、いるのかな、ってレベルじゃないですか。

大人でも難しいですよね。

昨今、公務員試験でもディベートやプレゼンなどを通して採用の可否を決めるという自治体が増えてきているらしいです。

昨年の東京都の採用試験でも、筆記試験に合格した人に、面接に行くまでに、討論やプレゼンが実施されました(ただしこれは2種類ある採用試験のうちの一方の分。もう一方は普通の採用試験。)が、プレゼンの内容は筆記試験で自分が書いたことを使って、というものだったらしく、これでも結構大変だったようです。神奈川県の採用試験も同じような流れで、今後、こういった手法が主流になるかもしれません。

ですから、今回の西大和の専願入試の形態は、ある意味時代の先取り、なのかもしれません。

それはともかく、その場で討論やプレゼンというのは、小学生にはさすがにきつい。

よって、おそらく事前の「質問会」でかなり突っ込んだことまで求められ(成績的なことも含めて)、それを重視するのではないか、というのが管理人の見立てなんですが、いかがでしょう。(まったく違っていたらごめんなさい。)

試験会場は、学校ではなく、「王寺町やわらぎ会館(JR王寺駅下車すぐ)」となっていますから、気をつけましょう。

合格発表は1月16日(月)10:00~で、学校のホームページに合格者の受験番号が掲載されます。

主要な学校で、こういった推薦型の入試を行っている所は、関西では同志社女子があります。

おそらく、難関校では西大和が初の試みとなります。

次年度以降も継続するのか、否か。それは、今年の状況如何でしょう。

学校が求める受験生のタイプは?

では、どんな生徒がこの試験に向いているか、です。

学校が求めているのは

中学校に入学するまでに培ってきた”、”様々な能力や得意分野、異なる背景を持った多様な生徒

です。

具体的には、

  • 特定の分野に強い関心をもち、その向上に夢をかけて卓越した力を磨いている者
  • グローバルな課題に積極的に向き合う活力のある者
  • 身近な地域の課題に徹底的に向き合い考え抜いて行動する者

ということが要項に記載されています。

はたして、

小学生でここまで卓越した力、顕在化された力のある子という子を見抜くことができるものなのか、はなはだ疑問はあります。

どういう判定基準で判断していくのか、というと、これも要項に記載されています。

「学力評価」の成績に加え、作文、面接、集団討論、プレゼンテーション、入学希望理由書や学習計画書、資格・検定試験などの成績、各種大会等での活動や顕彰の記録、その他受験生の努力を証明する資料などを活用します。

東大や京大では今年行われた入試で初めて、推薦枠を設けての入試を行いました。

しかし、結果は一部の「超優秀」な生徒のみが合格したと言われています。

(例えば、J-CASTニュースのこの記事)http://www.j-cast.com/2015/11/10250271.html?p=allや(ベネッセ 教育情報サイトのこの記事)http://benesse.jp/kyouiku/201603/20160304-1.html

超優秀とは、一般入試で受験しても文句なく合格したであろうレベルで、推薦枠を設けて、勉強秀才ではなく一芸に秀でた生徒を選抜したい、という趣旨が意図通り生かされなかったという結果になりました。

西大和の試みも同じような結果になるのであれば、実施する意味がありません。

学力のみで判定したほうがよほど公平な選抜ができるでしょう。

ですが、あえて推薦枠を設けて実施するのですから、きらりと光るものがある子、秘められた才能のある子をぜひとも取ってほしいと思います。

学校が求める生徒像がまとめられていました。

21世紀型特色入試による選抜にあたっては、本校の教育課程に適応しうる高い学力を有しつつ、本校で行われているプログラムや活動に関する卓越した能力、もしくは極めて強い関心や学ぶ意欲をもつ志願者を求めます。

高い学力・知力は当然必要

中学に入ったら、レベルの高い内容の授業が、かなりのハイペースで進められていきます。

推薦で入ったから学力がついていかない、なんて困りますから、学力面ももちろん高いレベルで要求されるでしょう。

ですが、潜在的な力のある子を見抜き、そういう子を選抜できたら、中学受験の厳しさを乗り越えてきた子らと互角以上に戦えるはず。

中学受験のための勉強をしていない、頭のいい子は少なからずいます。(公立のトップ校に入って伸びていくタイプ、みたいな。)

でも、そういう子が西大和の専願にエントリーすることはまずない。だいたい、学校が要求するようなテストは受けていない。

では、この専願入試を利用して西大和を考えている人って、どんなタイプなのか。

普通に受験したら、合格ラインぎりぎりか、やや下回る、けど、西大和に入学できれば上々、と考える層とか、成績的には西大和までまだ差はあるけど、受験勉強を始めるのが遅かった分ハンディがあると感じている層、とか、こんな感じでしょうか。

そういった子どもたちの中から潜在的な力のある子を見抜く、というのはなかなか難しそうに思えます。

ですが、西大和は、今や関西を代表する、人気、実力ともに備わった学校です。

その名に恥じない、受験生や保護者が納得する入試を実施してほしいと思います。

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