算数の入試問題はこの稿の後ろに載せています。
関西の中学受験~事前入試
例年、関西方面では、1月中旬の入試解禁前に「事前入試」という入試が行われます。
主に四国や中国地方の私立中学が、大阪などに試験会場を設け、実施する入試です。
関西の私学の話し合いで、入試解禁日前のフライングの入試自体は禁止されていますから、この「事前入試」が、京阪神の小6の事実上の入試スタートとなっています。
入試本番を利用した、最後の練習試合といった感じです。
通例、1月正月明けの岡山中学から始まって、岡山白陵、香川誠陵、函館ラサールと土佐塾、愛媛の愛光と続いて、いよいよ入試解禁日を迎えるのです。
(岡山白陵は本校まで受験に行かないといけません。)
中学入試日程の変遷の末
関西では、かつて早くから入試を行う中学校グループと、一斉に入試を行う中学校のグループに分かれていました。
奈良と和歌山の中学校は、京阪神の中学よりも早い日程で入試を行っており、受験生を多く集め、優秀な生徒も早い段階で確保していたのです。
京阪神の学校はこれに反発、今から十数年前から「入試解禁日」を設定。
それまでの受験生の流れは、「奈良・和歌山受験 ⇒ 結果を見ながらの京阪神一斉入試」だったのが大きく様変わり。
いきなり「解禁日の入試」がやってきた。
多くの受験生や塾関係者は何とかこの解禁日の前に受験できないものかと考え、そんな情勢を察知して中国や四国の学校が動いた。
これが今の「事前入試」の形なんです。
練習の絶え受験させたいという思惑と、一人でも多くの受験生を受け入れたい学校側の思惑が、見事に一致したのですね。
事前入試の算数の問題を少し紹介
函館ラサール算数の大問2(4)から。
整数a,bに対して,a*b=23×a+31×bという規則に従った計算をします。例えば,20*15は23×20+31×15を計算し,925になります。
① 2けたの整数x,yがあります。x*yの値が2015になるような2けたの整数x,yの組は,1つがx=ア,y=イで,もう1つがx=ウ,y=エです。ア~エに当てはまる数を答えなさい。
② 2けたの整数s,tがあります。s*2と3*tの値が等しくなるような2けたの整数s,tの組のうち,sの値が最大となる組はs=ア,t=イです。ア,イに当てはまる数を答えなさい。
〔解説〕
これは西暦2015年の問題。
①はこの2015にちなんだ問題が出題されました。2015=5×13×31となり,素因数31を含んでいます。これを利用しましょう。
x*y=23×x+31×y=2015=65×31なので,x=0,y=65で成り立ちますから,x,yの組が一組できます。(ただし,これはx,yが2けたの整数という条件に合致しません。)
ここから,yを減らして,代わりにxを増やしていきます。
23と31の最小公倍数は23×31=713なので,713÷31=23よりyを23減らせば,713÷23=31よりxは31増えます。
yを65から23減らし42にしたとき,xは0から31増えて31
さらにyを23減らし19にしたとき,xは31から31増えて62
これ以上yは減らせませんから,(x,y)=(31,42),(62,19)の2組が求められます。
2015=5×13×31というのはぜひ頭に入れておきましょう。
② s*2=3*tは,23×s+31×2=23×3+31×t となり,さらに変形すると, 23×s=31×t+7とできます。
「23で割り切れて,31で割ると7余る整数を求めなさい」というのと同じことですね。
31×t+7は、t=1のときの31×1+7=38から始まって,tを1増やすごとに31増えて38,69,100,…と続きます。
この中で23の倍数になっている69をまず見つけ,あとは23と31のL.C.M.の713を増やしていきます。
はじめ,s=3,t=2で、sは31ずつ,tは23ずつ増えていきます。
sもtも2けたの数であることを考えると, s=3+31×3=96,t=2+23×3=71 となりそうです。
なかなかに面倒な問題でした。
2015=5×13×31のように素因数分解できますが、西暦を算数の問題に利用した問題は今までも頻繁に出題されていますが、今後も登場する可能性は高いです。
2020=2×2×5×101,2021=43×47,2023=7×17×17など
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