原田マハさんの「キネマの神様」を読む
ふだんは中学受験の話と算数の話ばかり書いているブログですが、たまには気分転換にまったくジャンルの違う話を。ということで、今回は面白かった小説の話です。
不勉強でまったくもってお恥ずかしい話ですが、
原田マハさんという作家を知りませんでした。
あるとき、車に乗って聴いているFMラジオから「原田マハさんの〇〇がとてもよかった」みたいな音声が流れてきて、どうやら原田マハさんの小説の紹介をしているようでした。
ん? 原田マハ? よく知らないけど面白そう、とおそらく車を運転しながらそう思ったのでしょう。
いつも家庭教師で訪れる駅近くにある書店(そんなに大きくはない、どこにでもありそうな本屋さん。でも、なかなか面白そうな本が並んでいて、ビジネス書はよくここで購入します)の文庫本を並べたコーナーに割と広く「原田マハ」さんの本が並んでいて、今までは気にも留めなかったのだけど、あのラジオを聴いた後その「原田マハコーナー」がぐいぐいっと目に飛び込んできました。
こんなに並んでて、面白いのか?
そういうことがあって、「原田マハ」は頭にしっかりインプットされました。(でもまだ読んではいません。)
そうこうしながら、週3回通っている西宮・夙川にある松桜塾(国語塾です)で、今度は先生たちの会話が耳に入ってきました。
「原田マハっておもしろいよねぇ」
「面白いですね」
もうこうなったら読むしかない。
次に家庭教師に行ったついでに、件の本屋さんで一番興味を惹かれた「キネマの神様」を購入。読み始めたらそれはもう物語の世界にどんどん入り込んでしまって、あっという間に読了。
バリバリのキャリアウーマンとしての地位も収入も捨て、両親が暮らすマンションの管理人室で管理業務を手伝う主人公が、ふとしたきっかけで老舗映画雑誌の編集に携わることになり、その編集部が立ち上げたブログで、大のギャンブル好きで映画好きでもある主人公のお父さんが好き勝手に、でも愛情たっぷりに映画論を繰り広げていたところへ、アメリカの某有名映画評論家(というのは後で分かるのですが)が思いっきり絡んできて、そのうちその老人二人の間に友情らしきものが築かれて行って・・・
要旨を書くのは下手なので、なかなかうまく伝えられていません((^-^;)が、とにかく読後も後味が非常によく、上質な映画を鑑賞した後のような気持になりました。
それはともかく、その後、原田マハさんの本を何冊か続けて読んでしまいました。
アンリ・ルソーを中心に描かれた20世紀初頭のパリと現代を行ったり来たりしながら、その作品「夢」の世界観にどっぷり浸れた「楽園のカンヴァス」
パブロ・ピカソが描いたゲルニカとその背景に大胆に切り込んだ「暗幕のゲルニカ」
スピーチライターという聞きなれない職業に就く人々を見事に描き出した「本日は、お日柄もよく」
どの本も読みごたえがあり、かといって重厚過ぎない、どちらかといえばやや抑えたタッチで人物や情景を見事に描写していて、ストーリーの巧みさが加わって、どれも本当に素敵な小説に仕上げられています。おすすめです。
アマゾンへのリンクを貼っておきますが、ボクみたいに近くの「町の本屋さん」で実際にタイトルを見て手に取って読もうかどうしようか悩むのも、本を買ったり読んだりする楽しみですよね。